夜空を纏う四ノ姫4

□決戦の日
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「目覚めの時…運命の時…約束の時」







鬼の面をつけたマントを羽織った者が重々しく声を発した
その内容にボロボロのウサギのぬいぐるみを持った顔に傷のある男が興奮したように声を上げた


「ぼばっ。トリカブトが時を…トリカブトが時を告げた!!
ザクロ!!桔梗!!時だよ、時間だよ!!虐殺の時間だ!!」


カードゲームに興じていた髪の長い男と無精ひげを生やした男が彼を見やった
自らの首を絞めながら男、デイジーはなおも言う


「どうしよう…僕チン興奮してきた…今日殺しちゃうのは1万人かな…10万人かな…」

「ハハンッ落ち着きましょうデイジー
今日のつとめは大量虐殺ではありません
我々の戦う相手はごく少人数
白蘭様からは一種のセレモニーとも聞いてます」


そう妖艶に笑った髪の長い男、桔梗は立ち上がった


「では白蘭様と桜様の所へ参りましょう
この日をとても楽しみにしておられた」

「やったー!!ついちゃったよ!!」

「?」


この場にそぐわない女の子の高い声が桔梗の言葉に割り込んだ
甲高い声が反響する


「ねぇ見て見て!!すっごいついたの!!きん肉」


そう言ったのは水の満たされたカプセルのようなものの中で浮いていた、素っ裸の少女だ
その少女に、前を通りかかった無精ひげの男、ザクロが呆れた顔をする


「そりゃあ筋肉じゃねーぜ。ペチャパイってんだ、バーロー」

「なによザクロ!!きん肉だもん!!きんトレしたもん!!」

「そのメンチの切り方じゃまぶたの裏しか見えてねーなぁ。電波ちゃん」

「………」


それを聞いた少女は半眼になった
水から上がってカプセルの縁に足をかける


「誰が電波だこのヤロー!!今度言ったら頭蓋骨むくぞ!!
桔梗もなんとか言ってよ!!ブルーベルは激しくブロークンハートよ!!」

「ハハンッザクロはブルーベルのキュートさに焼きもちをやいて
ちょっかい出してるんですよ
ブルーベルは女の子なんですから、まず足を閉じましょうか」

「ニュニュウ〜…ザクロのすっとこどっこい。絶っ対尊敬させてやる」


ブルーベルは口を尖らせて足を閉じた






「ハハハッ。相変らず楽しそーだなー君達は」






『賑やかなことはいいことよ』






すると、明るい声を上げて部屋に入って来た2つの影
マシュマロを頬張っている白蘭と朗らかに笑う桜だ
その後ろには跡部と白石が幾分険しい顔をしてついて来ていた


「やっ♪」


白蘭と桜の登場に、彼らは姿勢を正した
右手を顎に当てて左手を右肘に添える敬礼の姿勢をとる


「ハハンッ。まさかおいでになるとは。白蘭様、桜様」

「当たり前だろ?今回僕達は君達と同じプレイヤーなんだよ
ほら、おそろいの戦闘服♪桜も似合ってるでしょ!!
景チャンも蔵ノ介クンもかっこいいしね」

『ありがとう。私も皆と同じものが着れて嬉しいわ』

「まぁ、気合は入るな」

「ああ。当然だな」


彼らの服装は白いトップスにズボン、黒いロングコートのような上着
後ろの方には二本の切りこみが入っている
ちなみに桜は肩をだしたトップス
トリカブトはマントだけで、ブルーベルは上着を羽織っているだけである
デイジーは白いトップスではなくYシャツにネクタイだ


「かっくいーびゃくらんとさくら」

「呼びすてるな!バーロー」

『クスッ。ありがとうブルーベル』


桜は降りてきたブルーベルににっこり微笑んだ
ブルーベルはそして跡部と白石を見上げた


「そっちの2人もまあまあね」

「アーン」

「ハハッ。ありがとな」


跡部は顎を突っぱね、白石は苦笑した
すると、桔梗が動いた


「我ら真6弔花。白蘭様と桜様と共に戦地に赴くは身に余る光栄」


芝居がかった口調で桔梗が言った
跡部の眉根が寄る


「ですが白蘭様と桜様が手を汚される必要はないでしょう
現状で一人欠けてはいますが、我々人類最強の選ばれし戦士と
運命を乗り越える事の出来る騎士が
史上最高のマーレリングと空前絶後の匣兵器をもち

桜様の加護のもと



あなたという悪魔に仕えているのですから」



それを聞いた白蘭は一層笑みを深くし、桜を抱き寄せた




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