夜空を纏う四ノ姫4

□憐れな男
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山本と幻騎士の戦いを聞きながら、桜と白石は2つの囮を撃破した
着々と侵攻する2人。その表情は明らかに飽きてきていた


「なんか、ボンゴレもおらんしただ飛んでるだけやと面白みに欠けるな…」

『そうねぇ。でも……そろそろかな?』


口角を上げた桜はホルスターから銃を取り出し

引き金をビルの影に向かって引いた




ガァン




「おっ。ようやくやなぁ」


その攻撃を避ける影が一つ
栗色の髪の線の細い少年の影


『あらあら。裏切り者の不二周助だったわね』

「………っ」


不二は苦い顔をして上空の桜と白石を見上げていた
と、リングに炎を灯し、匣に差し込んだ
その炎は青色。出て来たのは





雨鷹(ファルコ・ディ・ピオッジャ)





「そういや鷹の雨属性は周助が持っとったな」


一つ頷いた白石は冷たい目を向けた
自らの左手を振る。薬指に収まるリングが光った


「……裏切り者が、まだナイトリングをつけてたんか」

「………」

「それは夜属性の桜を守る騎士が持つリングや。そう切原赤也が名付けたな?
ま、もっともその赤也も裏切ってんけどな」


ハッと鼻で笑う白石は、今度は右手を掲げた。その中指にもリングがある
そこから、オレンジ色の炎が噴き出した





モニター越しに見たディーノたちは目を瞠った


「!!オレンジって………」

「大空の属性!?」

「幸村。あの白石っつーヤローは雷属性じゃなかったのかぁ?」


スクアーロの問いに幸村が苦虫を噛み潰したような顔をした
だがすぐに肩を落とす


「……簡単な事だろスクアーロ?
蔵ノ介は雷と大空の2つの属性を持ってるんだ」

「………でも、大空の匣は持ってないっスよね?
景吾さんのを借りない限り……」

「………忘れたかい赤也?大空の特性を」

「……まさか」





白石が取り出した匣には星型がごてごてと装飾されていた
それを見て不二は微かに目を開いた


「それ……」

「こんなアホなカスタマイズするんはアイツだけやろ?」


苦笑した白石が匣にリングを差し込んだ。中からは





晴鷹(ファルコ・デル・セレーノ)





「……晴属性は君が持ってたか」

「せやで?強奪しといてよかったわ」


フッと笑う白石は桜に目線を向けた


「先行っといてええで?ここは俺がやるわ」

『……なら、お言葉に甘えて』

「…………行かせないよ」


不二の言葉を合図に雨鷹が突っ込んでくる
青い炎――雨属性の死ぬ気の炎の特性は鎮静だ
それを見た白石の行動は速かった


「ミモザ。行ってや」


晴鷹がその言葉に従う
黄色の炎は晴属性の死ぬ気の炎だ
有する特性は活性だ。すなわち


「……相殺、か」

「せや。お互いに打ち消し合う属性と言ってもええな」


ニッと笑う白石は桜に手を振った
桜は不二を一瞥すると彼を避けて飛び去った
不二が唇を噛み締める


「………君達は…これ以上桜にこんなことを続けさせるつもりかい?」

「桜の望みを叶える。それが俺らの願いやで」

「違う。俺達は……桜を助ける為に………


運命を変える為に来たんだろう!!」


「……運命は変えるもんやない」


ふと、白石の顔に影がかかる
その瞳が細められ、鈍い色を放った
ナイトリングから雷の炎が溢れだし、それを匣に差し込む
中から雷リスが出現した
電流を纏うかのようなその小動物を肩に乗せ、白石は低く呟いた


「………受け入れるもんや」





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