夜空を纏う四ノ姫4

□ファレノプシス・パラドックス
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だが、そこからおかしなことが起こった
その世界では、白蘭と入江は初対面のハズだ
いくら入江が知っていたとしても、白蘭は違う世界の白蘭なのだから。だが――










――ちょっと待って…ん――…君どこかで会わなかったっけ?

――!え…いや…人違いだと思います

――う!!あ…うう!!

――!!

――頭いって――!ぐ…何だこれ…!?

――え!?…だ…大丈夫ですか!?

――何か…わかりそうだ…何かが…大事な事が解けそうだよ…

――…??

――君とは全然どこか違う場所で会ったことがある…

――!!(きっと僕と似た人と勘違いしてるんだ…)

――違う世界で!!

――!!

――場所は…大学……君の名は…イ…リ…エ…











「僕は気味が悪くなって走り出した。とにかく走って走った…
気付いたら…過去に戻っていたよ」

「ど……どういうこと!?」

「この時は僕も何がなんだかわからなかったさ……
白蘭サンがこの時手に入れた能力はこの後のタイムトラベルでわかることになる…」


入江は自分がミュージシャンになったあの未来が許せなかった
だから夢を諦めて再び大学を目指し、1年後に未来を確認した

そして、絶望した


「…ところがだ……
3回目のタイムトラベルで見た未来は僕の想像をまたもや裏切った…







世界は荒廃し…







戦争で焼け野原となっていた…







携帯端末から流れてくるのは
この戦争を起こし世界征服を成し遂げた独裁者の演説だけだった…







白蘭という男のね







信じられなかった入江は、この後何度も変化を起こしてはタイムトラベルを試みた
だが何度試しても入江の目に映るのは
わずかな違いこそあれ白蘭に支配された未来の光景だけだった


「……っ」

「白蘭の奴何をしたんだ?」

「僕が目覚めさせてしまった能力を…己の欲のために悪用したんだ…
彼は…どのパラレルワールドでも誰よりも知識を有し、先端技術を獲得し、強力な軍隊を作った……」

「そ…そんなこと…白蘭の能力って何なの!?」


パラレルワールドとは、現実と平行して存在している独立した別の世界である
どんな人間も他のパラレルワールドにいる自分のことは知る術もないし
交わったり関わったりすることはない










「だが白蘭サンは同時刻のパラレルワールドにいる









全ての自分の知識と思惟を共有できるんだ」











→Un afterword
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