夜空を纏う四ノ姫4

□ファレノプシス・パラドックス2
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一方ツナは、表情を歪めた
言っていて気付いてしまった


「って…この世界のオレも結局殺されてるんだった……」

「それはちがうよ綱吉君」

「!!」

「ミルフィオーレに射殺された時に使われたのは“特殊弾”だ
僕がすり替えた“死ぬ気弾”のような弾で、未来の君は仮死状態だったんだ」

「!!じゃああの棺桶は……」

「敵の目をあざむく為のカモフラージュだ……」

「…10代目は、生きてた………」


脱力した獄寺の息の混じった声は信じられない気持ちと安堵に溢れていた
切原が獄寺の肩を軽く叩く


「仮死状態ではあったが、彼は棺桶の中で綱吉君が来るのを楽しみに待ってたはずだ
彼は処刑の前日に言ってたよ」















もうすぐ一番可能性を持っていた頃のオレが来る
















手塚は、目の前にいるツナより格段に逞しく
凛々しくなったこの時代のボンゴレ10代目を思い返した
思慮深く、仲間想いで。真っ直ぐな目をした男だった
手塚は歯を噛みしめた


「たしかに経験も体力も知力も今の自分よりはるかにおとる…
でもあの時の自分が仲間との毎日の中で成長力と意外性がある
白蘭を倒せる一番の可能性をもった自分だって」

「それならオレも同感だぞ
お前らの伸び盛りっぷりは何度もミラクルをやってのけてきたからな」

「ああ。確かに」


彼らと過ごしてみても、彼らの成長度は凄まじかった
手塚は何度も、越前を思い出していたのだ
強敵に立ち向かい、そのつど強くなり、勝つ彼に


「…じゃあ未来のオレは本気で…この…10年前の…オレ達を…?」

「そうだ…君達を待ってたのはボンゴレリング目的の白蘭サンだけじゃない…
むしろ白蘭サンを倒せる君達を誰よりも待ってたのはこの時代の綱吉君や僕だ!!」

「……選ばれたツナ達と…選ばれた時代か…」

「…難しくてよくわからない所もあったけど……それだけはしっかりわかった

なのに…負けちゃった…」


ツナの言葉を聞いた瞬間全員顔を伏せて悲痛な面持ちをのぞかせた

そう、勝敗は決してしまったのだ


「そんな大きな意味や想いがあるなんて知らずに…」







「そ。君達の負け♪」







ツナ達をあざ笑うかのように、快活な声が入ってきた


「僕の事こんなによくわかっているのに、残念だったね正チャン
結局どの世界でも僕には勝てないのさ」

「白蘭…






さ、桜!!






桜ちゃん!!





どうした桜





ツナ達は白蘭と真6弔花、跡部と白石と桜がいる光景に目を疑った

桜が跡部の腕に抱かれて苦しげに息を吐いていた
顔は青白く、服がしわになるほど強く胸の辺りを掴んでいる
歪んでいるその表情が、彼女がどれほど辛いのかを物語っていた


「桜!!どうしたの!?桜に何をしたの!!」

「言いがかりだよ。桜はね、君達のせいでこんな風になっちゃったんだよ
まあそのおかげで僕は桜に出会えたんだけどね」


白蘭の言葉にツナのみならず誰もが言葉を失った
言われたことが理解できなかったのだ
いや、手塚や不二はハッとしたように目を見開いた。切原が唇を噛み締める

白蘭はそれには構わず倒れている正一に向かって笑いかける


「正チャンさあ、僕を倒すならこの時代だって思ってたんでしょ?
でもね、僕もこの時代がよかったんだ。なぜなら



を司る神崎桜っていう存在がいるのも、この世界だけだからね」



正一は目を見開いた


「何を言って……」

「知らなかったでしょ、正チャン
桜はね、この時代、いやこの世界以外どこにも存在していないんだ
唯一の存在なんだよ」

「何言ってやがる。そんなわけねーだろ」


リボーンが眼光を鋭くさせたが白蘭は依然笑ったままだ
フフン、と手塚と不二を指差す




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