夜空を纏う四ノ姫4

□夜空降臨
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『ツナ』





呼ばれたツナは体を震わせて桜の視線を受け止めた
そこには、最近全く見ることの無かった、10年前の桜の笑顔があった


『この時代の私が迷惑をかけたわね
でも私はいつでもみんなのことを思ってる
いつでも一緒にいるって言ったわよね』

「あ………」


それはアルコバレーノの試練から帰って来てから、リボーンから言われた言葉だ
ツナは目頭が熱くなってくるのを感じた
足元ではリボーンが怪訝そうに眉を寄せた


「オイ、桜
今のお前の口ぶりからすると、お前はここでの事
今までに何があったのか知ってるみたいだぞ」

『知ってるわ』

「!!!」


間髪いれない桜の意外な返答にツナは目を見開いた


「知ってる?」

『ええ。全てではないけれど…これも因果ね
この時代の桜が視たこと言ったこと。何を思っていたのか、知っているわ
まあ、今はそんなことどうでもいいわ。正一も辛そうだし、本題に入りましょう』


桜はユニを見下ろして頷いた
ユニも頷き返し、周囲を見回した


「話を戻します
私はミルフィオーレファミリーブラックスペルのボスとして、ボンゴレとの再戦に賛成です」

『私も、白蘭と入江正一とのチョイスの観戦者として賛成します
再戦の約束は二人の間に確かにあったわ』

「さくら。何言ってんの!!」


周囲が呆気にとられる中、白蘭にしがみついていたブルーベルは声を荒げた
白蘭も内心の苛立ちを抑え込み、笑みを浮かべた


「元気一杯になってくれたのは嬉しいんだけどユニちゃん。そして桜
僕の決断に君達が口出しをする権利はないな
僕が迷った時は相談するけどユニちゃんはあくまでナンバー2だ
桜はもっての外。君がいくら彼女と一緒だとしても10年前から来た桜だしね
全ての最終決定権は僕にあるんだ


この話は終わりだよ」


ばっさりと彼女たちの言葉を切った白蘭
それを聞いたユニは桜を見上げた。全て、判っていたことだ


「…そうですね…わかりました……桜様」

『ええ』


桜が笑うとユニは静かに、だが有無を言わせず断言した








「では私は、ミルフィオーレファミリーを脱会します」








「!」


手塚は手を組んだ。震える体を抑え込むように。ついに来る

ユニはツナに視線を向けた


「沢田綱吉さん…お願いがあります」

「え!?お…お願い…!?」






「私を守ってください」






ユニの必死の懇願に、ツナは絶叫した


「え゙ぇ―――――!!?
ま…守るって…ブラックスペルのボスなんじゃ…!?」

『ユニだけじゃないわ。ツナ』

「はい。桜様と……」


そう言ったユニはポケットからある物を取り出した
それを見て木手と裕太が口を引き結ぶ






「――仲間のおしゃぶりと共に」






「!!」

「それって…アルコバレーノの!?」


彼女の掌には6つのおしゃぶりがあった


「勝手に持ち出しちゃだめじゃない、ユニちゃん
それは僕の7コレクションだ」

「ちがいます…これは私が桜様から預かったものです…
それにあなたが持っていてもそれは7とは言えません。なぜなら」


不意に言葉を切ってユニが目を瞑った

すると突如、おしゃぶりから輝かんばかりの光が溢れた

手塚や跡部すらも、その光景に目を瞠った


「!!」

『おしゃぶりは魂なくしては存在意義を示さないのよ』

「…あんなに!あんなに輝くものなのか!?」

「ど…どうなってんの?何であの子が光らせられるの!?」


入江もツナも目を丸くした
そして白蘭も、そのおしゃぶりの輝きを見た途端目の色を変えた




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