夜空を纏う四ノ姫4

□夜空降臨
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「………なるほど…そういうわけか!!
すごいよユニちゃん!やればできるじゃない!!
やはり僕には君が必要だ。さあ仲直りしようユニちゃん」

「こないで!」


きっぱりと、ユニが言葉を発した
その目には強い意志が見え隠れしていた


「もうあなたには、私達の魂を預けるわけにはいきません」

『白蘭。あなたの元にユニを渡す訳にはいかないわ』


鋭い桜の声は重さを纏い、手塚にも突き刺さるようだった
だが白蘭は全く意に介さず、2人を凝視する


「なーに勝手なこと言ってんの?
それ持って桜と逃げるんなら世界の果てまで追いかけて桜共々奪うだけだよ
桜は大切な『最奥の鍵』――『全知の器』だしね」

『!!』


その言葉にユニと桜の表情がはっきりと凍りついた
不気味な凄みを見せる白蘭に、跡部たちの背中に冷たいものが滑り落ちる


「さぁ帰ろう。僕のところへ戻っておいで」


伸ばされた白蘭の手にユニは後ずさった
跡部たちだけでなく、桜も白蘭の異様な威圧感に押し負けて動けずにいた
京子はたまらずツナに叫んだ


「ツナ君!!助けてあげて!!」

「えっ、でっでも…」

『(動きなさい、私の体!!)』





ズガンッ





躊躇するツナとは逆に、己を叱咤した桜と
歯を食い縛った跡部と木手はユニを守るように前に立ちはだかった
白石も隣に立ち匣に手をかける

それと同時に行く手を阻むリボーンの銃声が響いた
桜とユニは歓喜の声を上げた


『リボーン!』

「おじさま!」

「図にのんなよ、白蘭。てめーが誰でどんな状況だろうと
アルコバレーノのボスと桜に手を出すんなら、オレが黙っちゃいねーぞ」

「え――――!?あの娘アルコバレーノのボスなの――!?」


桜とユニはリボーンに駆け寄った
彼の力強い声に鼓舞され、跡部は不敵な笑みを浮かべ、木手は目を細めた


「まったくだな。俺様の大事な女に、指一本でも触れてもらっちゃ困るぜ」

「君は相変わらずですね、景吾くん。まぁ、異論はありませんよ」


温かい手のひらが肩に触れた
白石が微笑んで桜の肩を掴んでいた
傷だらけなのに、どこまでも優しいその表情に桜も勇気づけられた


『(何を…怖がっていたのかしら…みんながこんなにも頑張ってくれたのに……)』


本当は震えだしたいほど怖いのは彼らであり、ツナ達だ
それになのに、桜が怖がるなんてあってはならない
彼女はいつだって、前を向かなければならない
過去を振り返るからこそ

唇を引き結び、桜は彼らから離れ、真っ直ぐ立った
目は、白蘭を射抜いていた






『ユニは、渡さないわ』






凛とした声に、誰の胸にも安心と勇気が湧いてきた
桜の声が、いつでも彼らを勇気づけるのだ
ツナも目を見開き、グッと拳を握った
安堵の表情を浮かべるツナたちとは反対に
白蘭と、桜に懐いていたブルーベルは憤怒していた
今までガマンしていたのも相まって凄まじい怒りが噴き出ているようだった
桜がユニを庇った事が何よりもブルーベルには許せなかったのだ


「ニュニュ〜!!さくらはそっちにつくの…?
祇映と一緒に騙してたってこと!?ユニなんか庇って!許さないんだから……
さくらなんか…








死んじゃえ!!!








ブルーベルは目を吊り上げると、右手を変形させ桜に攻撃を仕掛けた
咄嗟の攻撃とタイミングの良い不整脈に身体が動かなかった


『(しまった)』

「桜!!」


跡部たちが弾かれたように走った





ズガン!!





誰よりも早く、手塚が匣を開匣して銃を取り出すと引き金を引いた
それと同時に、桜を守るようにユニの手にあったおしゃぶりが輝きを増し

彼女の前に盾の様に浮かんだ



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