夜空を纏う四ノ姫4

□夜空降臨
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攻撃は手塚によって弾かれ、おしゃぶりの盾に跳ね返された


「!!」

『これ…は…』

「まさか……っ」


息を整えながら桜の隣に走って来た手塚も、そして桜も白蘭も目を見開いた
おしゃぶりは桜の周りを旋回すると、彼女の掌に収まった


「あの輝き……同じだ……」

「…桜を……守ったのか…」


入江は信じられないものを見るように桜を見つめ、リボーンは考え込むように声を溢した
桜はおしゃぶりを凝視する


『……バカね…こんな状態でも私を守ろうとするなんて……』


目を伏せた桜の頭を手塚が撫でる
が、何とも煮え切らない表情の跡部に引きはがされていた
ユニも悲しげに桜の背を見つめた

一方、白蘭も桜に先ほどとは違う目を向けた


「なるほど…やっぱり桜もなんだね……」


小さく、誰の耳にも入らないほどの声量で呟いた白蘭は笑みを浮かべていた


「桜。ユニちゃんと共に僕の所へ来なよ
祇映は僕と共にいたいと言った。なら君もだろう?」

『……それを、貴方が言うの?』

「……?」


悲しげに目じりを下げた桜に白蘭は首を傾げた
桜は首を振って静かに言った


『……意味が分からないって顔してるわ
だからこそ、あなたのもとには行けない
ユニも言ったように、私たちの魂を、もう預ける訳にはいかないわ』


そう言うと、桜は首元に手を突っ込んだ
そこから出て来たのは紛れもない




黒色のおしゃぶりだった




それを目にしてツナは絶叫した


「え―――っ!!!あのおしゃぶりって…夕月のでしょ―――っ!!!」

「桜があの時の夜のアルコバレーノだったんだぞ」



「うそ―――!!」



獄寺や山本、了平、クローム、さらには雲雀までも驚愕の事実に目を瞠った
スクアーロもディーノも信じられないといった面持ちだ


『私は7の最奥の鍵「1」を司る者
夜のボンゴレリングを守護し
夜のマーレリングを保護し
夜のアルコバレーノのおしゃぶりをその身に宿す者』


桜はおしゃぶりをユニに返すと、狂気を宿す瞳で己を見る白蘭に言った







『これはあなたが持つべきものじゃないわ』







空気すらも肯定するかのように、突風が桜の髪を攫った
どこか神々しくも見える桜の姿に、手塚は目を細めた
優しくも強い、自分達の知る桜の姿にどうしようもなく胸が熱くなる

だが、彼にはどうでもいい事の様だった


「ダメだよ桜。帰っておいで」

「白蘭様。ご安心ください。桜様とユニ様は我々がすぐにお連れします」


言うないなや、桔梗たちが空中に飛び上がった
紫の死ぬ気の炎を灯した草をいくつも放つ。それを粉砕する男たち



「ゔお゙ぉいっ!!てめーの相手はオレだぁ!
暴れたくてウズウズしてんだぁ!!」


「じゃまだよ」


「邪魔なのはテメーだ」


「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ景吾さん」


「スクアーロに……ヒバリさん!!」

「景吾!赤也!!」


桜とユニを攻撃から庇う為、スクアーロ、雲雀、跡部、切原が前に出ていた
雲雀はトンファーでスクアーロと跡部をつついていた



「んだてめーは!?つつくなっ」


「鬱陶しいっ」


「僕の獲物だ」


「アンタら潰すよ!」


「ハハン。懲りない連中だ」


「ちょっ…みんな!!どうする気〜〜!?」



ツナの空しい悲鳴が空に消えた






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