夜空を纏う四ノ姫4

□決断
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「桜を奪うってんなら容赦はしねーぞぉ!!」




「ハッ。俺様相手じゃテメーらは役不足だな!!」




「どきなよ。桜にちょっかい出す奴は僕が咬み殺す」




「お前らなんかに桜さんはぜってー渡さねーかんな!」




『みんな……』


白蘭たちと対峙するスクアーロ、跡部、雲雀、切原
胸に手を置き、彼らを見つめる桜の目には微かに涙の膜が張っていた

手塚が頭を撫で、白石が背中を叩く
木手も腕を組んで不敵な表情を浮かべ
柔らかい笑みを浮かべた不二を支えていた幸村と裕太は大きく頷いた

だがツナは一触即発の雰囲気に頭を抱えた


「なにげにみんな、闘う気になってる――!!」

「まあ落ちつこうよ桔梗ちゃん
桜は10年前から来たばかりだし
ユニちゃんは病気でずっと眠っていたも同然だったんだ
急に目覚めて気が動転してるんだよ」

「ハッ白蘭様」

「じゃあこうしよう桜、ユニちゃん
チョイスに勝利して僕がもらえるはずの7
手に入れるまでにとても苦労したしすごく大事な物だよ
でも、もし桜とユニちゃんがミルフィオーレに帰ってきてくれるんなら
ボンゴレリングはボンゴレファミリーに返してあげてもいい」

「!!」


ツナは驚き、獄寺と山本は心配そうに桜を見つめた
彼女が来て彼らもずっと喜んでいた
何より、10年前の桜に何も言えなかったからこそ
彼女がこうして敵としてではなく近くにいる事が心強かった
桜が手塚たちと共にいる事に胸が熱くなった


「(……それなのに…桜と交換…だと……)」

「(そりゃねーよ……)」


ふと、山本は怪訝な顔をした
彼女を守るように立つ手塚たちの表情には
これまであった焦燥や緊張、何より悲壮感はなかった
しっかりと、地に足をつけていた


「(……心配じゃ…ねーのか………?)」


いや、確信しているのかもしれない。桜はきっと守り通すと
山本は刀の鍔を鳴らした


そんな中でも白蘭は桜とユニから視線を逸らさなかった
彼女たちしか見えていなかった


「(今は桜とユニだ…
何としても桜と魂の戻ったあのユニが欲しい…
リングはその後だ…)」

「(どうしたんだ!?
おしゃぶりの光を見てから白蘭さんの態度がかわった…)」


入江は白蘭の態度に疑問を抱いた
あれほど欲しがっていたボンゴレリング
それを一時的に手離してでも桜とユニを欲する理由が見えない

だが桜とユニには手に取る様に分かる


『白蘭。なぜあなたが私たちを欲しているかはわかってるわ』

「?」

「わかっているからこそ、あなたの元へ帰るわけにはいきません」


二人の返答に白蘭は目を細めた


「ふうん。じゃやっぱりボンゴレリングは僕らのものだ
桜とユニちゃんが逃げ込もうとしてる連中に
ミスミス武器を渡すつもりはない」


そこで言葉を切って手塚、跡部と視線を動かし、ツナを射抜いた


「っといっても…夜の騎士達はともかく
かんじんの白馬の王子はユニちゃんの願いにビビってるけどね」

「……」

「い゙っ」

「ボンゴレリングはあなたのものじゃないです、白蘭」

「ん?」


ユニの言葉に首を傾げた白蘭に、桜は諭すような口調で続けた


『おしゃぶりはアルコバレーノのもの
ボンゴレリングはボンゴレファミリーのもの。それは真理よ
なのにあなたは7を手っ取り早く安全に手に入れるために
無理矢理チョイスを開催し、7を賞品にしてしまった』

「私の魂と桜様がいるかぎり、1と7を繋ぎ
の一角をになう大空のアルコバレーノとしてそれは許しません
すなわち7争奪戦は認めません


チョイスは無効とします!!」


「む…無効!!」

「…って…」

「ことは……」

「どういうことだ!?」

『ボンゴレリングを渡さなくていいわ!』


はっきりとした桜とユニの宣言に白蘭は笑いだした
切原が顔を顰める




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