夜空を纏う四ノ姫4

□欲望
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「それに今この場では足止めさえできれば僕の勝ちですよ


さあ大空のアルコバレーノと桜を並盛町へ連れて行くのです。沢田綱吉」


「骸…!」

「ツナ。ここは骸にまかせた方がよさそうだ」

「でも…骸様!」


悲痛な面持ちのクローム。当然だ
つい先ほどまで、安否の分からなかった大切な人が目の前にいるのだ

桜はそんなクロームの名前を呼んだ


『クローム…いいえ、凪!』

「!」


クロームはハッとして桜を見た
桜は優しい顔をしていた


『大丈夫よ。骸だもの』

「………うん(安心する)」


クロームは落ち着きを取り戻し、桜に頷いた
幸村が彼女の背を叩く

桜はディーノの後ろから顔を出して骸を見た


『ありがとう骸。気をつけて』

「クフフ。勿論ですよ
あなたを直接護れないのは残念ですが、ここと、彼は任せてください」

『!』

「……ああ。頼むね」

「……ええ」


幸村に骸も深く頷いた
桜に笑顔を向けた骸は、ツナを真剣な表情で見た


「いいですか?沢田綱吉






絶対に桜と大空のアルコバレーノ ユニを





白蘭に渡してはいけない






「黙って♪」

「ぐっ」

「いや!!」

「あ!!」

『骸っ』


白蘭の腕が骸の右の胸を貫通した
骸が苦しげに息を詰まらせ裕太も表情を歪めた

しかしサラサラと幻覚が解けながらも、骸は顔を向け笑いかけた


「……僕の大事な桜をくれぐれも頼みましたよ」

「……君のじゃなくて、僕たちの大事な桜だから間違えないでくれるかい?」

「何を言っているんですか。君達のことなど知ったことではないですよ
さあバカなことを言ってないで早く転送システムに炎を」

「わ…わかった……クローム!み…みんな!!」


全員のリングから炎が溢れ転送システムに立ち上った
辺りは眩い光に包まれた




















「うまく逃がしたつもりだろうけど意味ないな骸クン
綱吉クン達の寿命はほんのちょっと伸びただけだよ」


転送システムを見送った白蘭は対峙する骸にそう言った
幻覚が解ける中、骸は不敵に笑う


「僕はボンゴレファミリーを助けたかったわけじゃありませんよ」

「ん?」

「大空のアルコバレーノと1があなたの手に渡らなければ充分です
何より、ずっとこの時代にいた桜があなたの傍にいましたから
これ以上は例え過去にいた桜でも置いておきたくありませんでしたので」

「嫉妬はよくないな、骸クン。でも、わかってるような口ぶりだね」

「クフフ」

「まっいいや。ユニちゃんと大事な桜はどんな手を使っても手にいれるから
君の嫌いなマフィアらしいやり方でね」


白蘭はそう言うと骸を霧散させた
表情一つ変えずそれを見つめる



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