夜空を纏う四ノ姫4

□欲望
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その頼もしい後ろ姿に、ツナは素っ頓狂な声を上げた


「む、骸―――!!?」

「骸様の…有幻覚…」

「あれが!?」

「あれれ?」


恍惚とした表情で骸を見るクロームを桜は撫でた
骸は不敵に笑って炎を灯した白蘭の拳を止め、幻覚で炎の柱を出現させた
白蘭は巨大な炎に呑み込まれる


「ひいい。スゲー―!!」

「お久しぶりです沢田綱吉、桜」

「か…髪が伸びてる!!10年後の骸!?
でも…ケガとか大丈夫なの?」


ツナの疑問に白石と跡部が苦い表情をした
彼を助けなかったのはどんな理由があるにせよ許されることではない
今彼はこうして現れたが本当なら死んでいてもおかしくなかったし、そのつもりだったのだ

ツナの疑問に彼の声が同意した


「綱吉クンの言う通りだよ、骸クン」

「ひっ」

「効いてない!」

『(さすが…ね)』

「(……バケモノか…)」


炎の柱に呑み込まれた白蘭は、だが全く意に介さず話しかけた
跡部も眉を顰めた


「僕の部下に憑依した君はあの時精神ごと消したはずなんだけどな
少なくともこんな幻覚はもうつくれないほどにね」

「クフフフフ。たしかにあなたの策略にはまり
密閉された空間に閉じこめられた時はもうダメかと思いましたよ


一人でしたらね」


「ん。あっそっか――
お仲間に外から穴を開けてもらったのね」

「アレを僕の仲間というには出来の悪すぎる子供ですが」

「?」

「子供?」


疑問を浮かべるツナとクローム
桜はフッと笑った


「どちらにせよ、あなたにもらったダメージはとても大きかったですよ
つい先刻までこんなことはできなかったほどにね」


さらにいくつもの炎の柱が勢いを増して出現し、蓮の蔓が白蘭を縛り付ける

だが有幻覚である骸の攻撃は白蘭には効いていなかった


「ハハハ。ダメダメ骸君。これじゃ僕には勝てないよ
いくら本物に近い幻覚とは言っても所詮君はニセの作り物だ
僕に勝ちたいんなら少なくとも







復讐者(ヴィンディチェ)の牢獄から抜け出して






君自身の肉体で戦わないとね







黒曜ヘルシーランドでの戦いのときに復讐者に捕らえられて10年
水槽の中で拘束されている骸の姿をツナは知っている


「(本当に骸は…10年間ずっと復讐者の牢獄に…)」


ツナはその光景を思って愕然とした
だが反対に骸は面白そうに目を瞑った


「クフフフ、ご心配なく
僕が自らの手で直接あなたを倒す日も遠くはない」

「「!!」」

「ん!?」

『(……そうね)』

「(……首尾よくいけば、だけど)」

「(……桜?)」


桜はディーノの服を掴んで思わず微笑んだ
ディーノは訳が分からなかったが、とりあえず桜の手を握りしめた
幸村も口角を上げる


「(まあ大丈夫だとは思うけど…)」

「我々はすでに動きだしている…とだけ言っておきましょう」

「(我々…!?)」


不敵な骸の言葉にツナは引っ掛かりを覚えた



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