BOOK

□I like TAKOYAKI笑"
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 僕は今、
 タコ焼きが異常に食べたい。



 もぅタコ焼きが食べたくて
 食べたくて...

 気づけば
 食べたいと言う気持ちが
 愛しさに変わり始めていた。



 お腹も音を立て嘆く...。

「あぁ〜タコ焼き食いてぇ」



 でも、このマンションの近くに
 タコ焼き屋は一切存在しない。

 存在するとしたら
 僕の頭の中だけであろう。





 それに僕は引きこもりの身

 引きこもり理由は寒いから。



 部屋から出るには勇気がいるし、
 服も着替えなくてはならない

 何より今は動きたくなかった


 だけど

 そうこうしている間にも
 僕のタコ焼きメーターは
 レッドラインを越え、
 食べたい気持ちは
 あっという間に最高超。
 


 このままでは死んじゃう。


 そう思った時だった
 一着の着信音が思考を塞ぐ



「今日は大事な会議だろ!?
 一体、何してるんだ!!」


 それは8年間
 寝る間も惜しんで働いてきた
 会社からの電話だった



 今日は月曜日、
 サービス休暇は昨日まで

 しかし...!!

 今の僕には
 もっと大事なことがある。



 それは
 タコ焼きを食べるという
 使命を果たすこと




 僕は言う


「すいません、
 タコ焼き食べなきゃなんで
 今日は休みます」





 ...8:24..会社クビ。





 クビだろうがなんだろうが
 タコ焼きと比べれば
 こんなもの屁でもない


 屁でもないんだ...!!



 タコ焼き居れば充分。

 まずは家から一番近い
 タコ焼き屋を探そう



 そうして見つけたタコ焼き屋は
 「タコグッジョブ」という名のお店で

 バスで1時間、
 そこからとある駅まで走って30分、
 さらに電車に揺られて
 10分のところにある
 評判のいいタコ焼き屋だった。
 


 タコ焼きを買うのに
 約1時間以上もの時間を
 費やす人間がどこにいただろうか?


 僕は、きっとバカだ。





 かかる時間も時間なら
 かかる金額的にもハンパなかった


 でも仕方ない

 これもタコ焼きの為、
 なんとしても手に入れ
 美味しく頂かなくては。



 そう言うと僕は
 慌てて服を着替え、家を飛び出し
 エレベーターに向かった


 が...、

 エレベーターは全て故障中。





 ならば非常階段があると
 一階までダッシュするものの

 一階にて
 外が雨であることに気づいた
 今日この頃。



 この際だ、もう
 雨に濡れてでも向かおう

 そう言って
 足を踏み出した瞬間
 雨がよりいっそう強く、
 僕を襲った。


 シャワーのようだった





 これではダメだと
 急いで最上階の自分の家へ
 傘を取りに戻った。


 そしてまたもや、
 21階という最上階から一階まで
 息も絶え絶えに
 急いで駆け下りるが

 綺麗に止んでいる雨。
 


「なんでやねん!!」


 思わず、心の声も
 口からこぼれ出る。



 結局、傘を自分の家に
 戻しに行ったあと
 自転車に跨がり
 バス停まで走る僕だが

 なぜか自転車は
 平坦な道でパンク。



 僕は涙ながらに
 大切な自転車を捨て去り、
 タコ焼きのためにひたすら走る。


 が...

 やっとの思いでたどり着いた
 バス停にて一時間も待つはめに。





 なんて不幸な一日なんだと
 途方にくれながらもバスを待ち、

 やっと来たバスは
 なかなかの満員で
 この僕が酔ったことは
 言うまでもないだろう。





 そうして、30分後


 急いで降りたバス停から
 走り出した途端に転倒!!

 これは痛い...

 そう言いながらも
 足を引きずり走る僕。



 そうしてやっと見えてきた
 最寄り駅のホームにて

 またもや、転倒!!


 その勢いで
 並んでいた自転車の陳列を
 倒してしまった。



 
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