BOOK

□My life no fiction
1ページ/3ページ







   1. My life


普通でいて
当たり前でない…
そんな毎日を、
僕はあと七日しか味わえない。

言い方を変えれば、
たったのあと、七日しか
僕は生きられない。


そう…
医者から宣告されたのは
ついさっきの話。



「君の命は
 あと一週間で尽きる
 かもしれない…。」


それはそれで
仕方ない―‐そう
思いかけた瞬間、

とてつもなく
悲しくなった…。


泣きたくないのに…、
悲しくなんて…ないのに、
涙はどうして
こんなにも溢れて
止まないんだろう?



「…先生、
 死ぬって…どういうこと
 ですか?」


「僕は、
 何のために…
 生まれてきたの?」


今の今まで僕は…
一度だって生きていることを
実感したことがない。

息を潜め、
ひたすら勉強に励み、
いつの間にか…僕の夢は
天才医師。


僕が決めるはずの夢さえも
周りの大人に奪われ…
友達からは

“お前がいなけりゃ、
 比べられることも
 なかったのに。”

そうよく、
妬まれ、イジメをうけた。



これが僕の
生きる理由だろうか?

僕が生きることに
最初から理由なんて
なかったんだ…きっと。


普通でいて
当たり前でない世界は広くて

目をつぶると
一週間と持たずに
終わってしまいそうで…
怖いと感じた。


友達がいて。
彼女がいて。
家族がいる。
それが普通の世界、

けど僕にとって
それは全て普通じゃない。


恋なんて、したことない…
友達なんて、最初から
出来ても信じたことはない。
家族なんて、
居てもいないも同然だ。


きっと僕は
皆にとって当たり前の毎日を
普通に過ごしていない…

友達と他愛ない話で
ケンカをしたことも、
仲直りをしたことも、
遊ぼうと誘われたことも…
一度もない。

修学旅行や遠足、
校外学習だって
一度も行ったことはない。
勉強に関係ないことは
させてくれない家庭なのだ…

それを
どうこう言うこともなく、
過ごして来たのは
この僕だ。


今からでも遅くないなら、
時間がいくらでも
あるとするなら、
そりゃ…やり直したい。

けど…

僕に残された時間は
たった一週間。

きっと、
やり直してる間に
死んじゃうや…


僕の命は
あと、六日。





2.life-style


僕の生き甲斐は
“勉強”一筋…なわけがない、

勉強は好きだけど
僕の意思ではなかったから…
本当は大っ嫌い。

だから
僕に生活スタイルなんて
はっきり言って…ない。


かと言って
自由なわけもなく…
僕はいつも、我慢してた…。

それが祟ったのか、
ある日、突然…
僕の鼓動はその動きを止めた。

その頃の僕は自殺願望を強く
持っていたため、
このまま死ねることを
強く願った。

しかし、
僕は生きていた…



息をし、
空気を吸うだけの日々が
まだ続くのかと想うと泣けた。

なのにその反面…
心無し半ばで僕は
ホッとしていた。


その時僕は
気付いてしまったんだ…
ある感情に。

“死ぬって…恐い。”



それからというもの…
僕の心臓は
何度も止まった。

その度…息ができず、
もがき苦しんだ。


“いつになったら死ねる?”

何度も神様に問いた…
そんな僕を見て
神様が
あざ笑ってる気がした。



“そんなに死にたいか?
 なら、死ぬがいい…。
 でも、死ぬのは恐いか?
 そんな気持ちじゃ
 お前は死ねない…。”


そう言って
空から僕を見てはきっと、
あざ笑ってる。

いいきみだと笑う、
あのいじめっ子のように…
笑ってる。


母だってそうだ。

“なんで私の子が…”とか
言って泣きながら、
周りの人に
慰めてもらいたいだけ。

息子想いの優しい母を
演じているだけ…。



そう僕はひねくれ者だ…。

それも重度のひねくれ者だ。


だから僕を好く人なんて
きっといない、

世界中を捜し回っても
僕を好いてくれる人なんて
いない。


だからこそ…
死ぬことを望める僕がいる。


誰も悲しませないでいい道を、
僕は…知ってる。


僕に残された時間は
あと、五日。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ