BOOK

□=<SUICA>=
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「もう、バス来るし。」


「けどこのまま
 ほっとくのはちょっと無理。」


「ほっとけばいぃよ
 渇かない涙はないんだから。」


「詩人だな。
 けど泣かれた疑問符は
 残ったままじゃん?」


「どうぞ。どうぞ。」


「いや、気になるし…」





その言葉
くっきり丸ごと全部君に
言い返したい。








「私を期待させないで。」


「え?」


梅雨のせいかな、
変なこと口が零してる。





「傘を貸そうかって
 言うだけでも
 心臓張り裂けそうなくらい、
 息苦しいほど
 勇気がいったのに
 あなたは私を殺す気ですかぁ!?」


「うん…、はい。」



意外すぎる驚愕の返答。

ついに君も
梅雨期に侵されましたか?







「殺す気…だったんですか?」


「だってお前、
 分かりやすいもん
 ちょっと遊んじゃった。」




スイカにメロンが。

どっちかって言うと、
スイカの方が
転がして遊びやすいのに…







「分かりやすいって
 分かりやすいって
 なんなのさぁ!!」


「お前が、
 俺のこと好きなこと」





君はそれだけ言うと
止まるバスを横目にそっと、

僕の額に優しいキスをした。











君と出会って一年と六ヶ月…。



君に恋して一年と六ヶ月…。





いつも君を見つけては
ドキドキしてた、

けど
今日ほどドキドキしたことは
きっとなかった。








「また明日。ばいばい。」


「ばいばい…。」






今なら僕は
スイカの皮以上、
スイカの種以上、
スイカ自体になれる

そんな気がした。





君がスイカなら僕はメロン。


だけど、出来ることなら
君と同じモノでいたいんだ











スイカは僕の大好物であり
僕の大好きな人。


だから君は僕のスイカ。

もちろん、これから先も










君のいう明日、
期待してみてもいいかな。









      E・N・D


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