BOOK

□star dust...@
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    X.限界


彼は君の恋人…

見てるだけでなんだかイライラする…。

もう限界かもしれない…。
ふと、そう思った。



君が好き、その気持ちは
何にも変えられなくて
消えることすらできなくて

限界を知った。


そんな僕の気持ちを彼女は
受け止めてあげると言う…

僕はその日、
何度も彼女に聞いた。


「傷付けるかもしれない…
 いっぱいいっぱい、
 傷付けるかもしれない…
 それでもいいの?」


「いいよ。」



彼女は優しい…
お人良し以上に、優しい…。

だから、
ついつい…甘えてしまう。


彼女の綺麗事に
心にも無いことを言って
彼女を喜ばせて笑わせて

僕はまるで
じゃれる子犬のように、
甘えるのだ。


きっと、彼女もそのことに
気付いているのだろう…

わざと綺麗事を言って
僕の甘えを誘う。

僕はそんな彼女が
愛しくて…恋しくて…
時々、抱きしめたくなる。


それが恋なのか、
逃げから来る感情なのかなんて
わかりたくないけど…


好きになれる気がした。



君以上に、
彼女を愛せる気がした。


限界は
新たな恋を誘い出す…
    Y.表裏


好きか、嫌いかなら好き。

それが本物か、嘘かというなら
…本物であって欲しいと願うばかり。



いつだって彼女の綺麗事には
必ずと言っていいほど
対になるものがある。

それは比較して
自分と相手を
見つめるためだと言う…


僕には難しすぎて
比較の意味が
よくわかんないけど、

優しさと怒りのように
大切なことなんだと言う…、



「優しいからって、決して
 いい人ではないんだよ。
 自分はいい人だと周りに
 認められたいだけなの…
 そう…だから
 私の優しさなんて単なる、
 健全であるが為の行いなんだよ。
 結局最後はさ
 自分が可愛いんだよね…。」


彼女の話は
難しすぎてわかんない、

必死に耳を傾けるものの…
意味不明。


なのに、
どこか信憑性があり
僕は何故か和まされてばかり…。

それがどういう感情なのか
僕は…多分、
分かってきてる。



好きか嫌いかなら
好きに等しいかも。

君か彼女かなら…


…彼女がいい。
    Z.信愛


“初恋は叶わない。”


って誰かが言ってたっけ…

じゃあさぁ…
初恋じゃなければ叶うよね?


絶対なんてないけど
気になる人ができたんだ、
この恋は
叶わなきゃ損だよ。

そう…まだこれが恋なのか
愛なのかも
はっきりしていない。


なのに僕は信じてた…。


これは恋。

君じゃない、彼女に向けた
僕だけの恋…


まだ未完成ではある
僕のキモチだけど、

確かな鼓動の速さを
感じていた。
    [.掌


「愛してる」
そう言いたかったのに

僕の口から零れた言葉は


「好きになっても
 いいですか…?」

…!?

自分で言った言葉に
僕は一瞬、
息することを忘れそうなほど
驚いてしまった。


それに対して彼女は

「どうぞ。」と言う…

僕は難しいクロスワードを
解き始めた。



「意味、分かってる?」


「もちろん。」


…これはきっと、タテのキー。


「告白だよ?…これ。」


「そうなの?遠回り〜。」


…ヨコのキー?


「愛してる…」


「なんか似合わな〜い。」


次が最後。


「君と、恋がしたい…。
 もしOKなら…手繋いで!!」


「…」


沈黙が怖い、彼女は今…
どんな顔してる?


「いいよ」


「OKなら…手、繋いでって
 言ったじゃん。」


そうじゃなきゃ、ダメなんだ。

そうじゃなきゃ…
悲しいことにも
君を信じられない。


まだ彼女を愛しきれない
今の僕には
大切なことなんだ…
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