BOOK

□star spangled...A
2ページ/2ページ







その次の日の朝、
君が僕のところへ
謝りに来た時のこと…


「新はいい彼女を持ったね。」

「?」


「彼女、あの時…私の耳元で
 “私の新を取らないで”って
 言ったの。
 その言葉に余計涙した私に、
 “でも友達では居てあげて”
 って言うのよ?
 残酷だって思ったわ。
 けどその後の彼女の言葉で
 その気持ちも
 綺麗さっぱり消えちゃった」


「何て言ったの?心は。」


「へぇ〜彼女、“心”って
 言うんだ。」


「だから、
 何て言ったんだよ?」


「“きっと彼の初恋の人は
 あなたです。
 それを奪おうとも思わないし、
 きっと消したくても
 消せるもんじゃないから…
 せめて、友達でいてあげて。
 彼も友達では
 在りたいはずだから…”
 だってさ…私、何も言えなく
 なっちゃった。」


彼女はズルい。
一人で事を良い方向へ
持っていく…

おかげで僕は
彼女をもっともっと、
好きになってしまった。


本当、残酷だよ君は。

良い意味で残酷だ…
    V.宝物


僕はこの世界で一番
愛してる彼女に、
千年に一度しか流れない
紅い星を見せようと思った。


もう、現実では
流れてしまったから
本物の空では見えないけど…
どうしても今見せたい。

プラネタリウムでも
ニセモノでもいいから、
君と見たい。



君は嫌がるかな…?
16歳にもなって
プラネタリウムを
見にいこうなんて…。

それでもやっぱ、見に行きたい。

だから僕は言う…


「明日…もし行けたら、
 プラネタリウム…
 見に行こう?」


「いいよ。行こう。」



きっとそれはもったいないほど
最高の思い出になることだろう。
    W.星


「あれはペガサス座、
 であれがアルタイル。
 で、あの一番輝いてる
 紅い星が…スピカ。」


「へぇ〜すごいね。
 星も綺麗ですごいけど…
 新もある意味、すごいや。」


「なんで俺!?」


「だってさっきから
 星を説明してくれる
 ナレーターよりも先に
 説明してくれるんだもの…」


「あっ悪りぃ…」


「ううん、悪くないよ。
 なんか楽しい。」


そう言って笑ってくれるのは
きっと、
優しい君だから。


いつだったか
僕だけが見れなかった
紅い星、スピカ。

君には見えて
僕には見えなかった…
紅い流れ星。


あの時は
見たくてたまらなくて
後悔してた…

けど、あれがあったから…
僕らは繋がって
ここに在るんだよ。


流れ星は見てないけど、
願いはちゃんと
届いてたのかも…。


“幸せになりたい”って気持ち…
届いてたのかも。



僕は願い事とかサンタとか
神様とか天使とか神話とか、
信じたことはないけれど…

本当にそうなるためには
願いを叶えるためには…
何かにすがらずになんて
居られないんだと、知った。


だから僕は君にすがり付く。
離れないで、好きだよと、
ケンカをしてまで
すがり付く…。

また君も僕の為に
すがり付いてくれる。

僕はそれだけで
すごく幸せなんだ。


このまま、
死んでしまっても
いいと想えるくらい…
幸せなんだ。

幸せ過ぎて
逆に死んじゃうかも。


僕は君の右手に
左手を乗せ、そっと言った。


「愛してる。」







  .END.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ