Lovers
□恋 す る ふ た り
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* 第1話 *
深夜のコンビニは、なんか居心地がいい。
時間がゆっくり流れてるし
フライングで新刊の雑誌を買うことができたり
お客さんも、時間帯によってはほぼ同じメンバーだったりして
人間観察も、案外楽しい。
遅番の店員さんの中に、ちょっとかっこいい人が1人いる。
でも、あんまり好きじゃない。
だって、接客態度がなってないんだもん。
今日だって、温めてもらったお弁当を無言で渡された。
だからあたしも無言で受け取って
足早に店を出た。
自転車のカゴにお弁当を入れて、鍵を探していると
『あっ、あの、すんません。』
「…はい?」
『あの…箸…入れ忘れたって…店員さんが言うてはったんで…。これ…。』
そう言って箸を渡された。
店員からではなく、お客さんから。
「あっ、すいません。ありがとうございます。」
軽く会釈をして、あたしは家路へと急いだ。
あの店員、何考えてんだ。
深夜のバイトだからって、気ぃ抜きやがって。
お客さんに持ってかせるとは、何様だよ。
何故か、無性に腹が立って仕方がなかった。
今度なんか変な態度とったら、ガツンと言ってやろう。
たぶん、高校生くらいだろうな…。
その日眠りにつくまで、あたしはそのことで頭がいっぱいで
ムカついたまま、朝を迎えた…。