Pures

□熱 視 線
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ジリジリ





あたしの肌を焦がしていく。


少し赤くなって熱を持つ。


そこを冷却するかのように。







『うわ、ごめん!』

「、っ冷たーい!」

『ごめん、ごめん。めっちゃ並んでたから、焦ってたわ。』

「あたし、いちご。」

『ん、じゃあ僕はこっちで、』

「あ、やっぱメロンにする!」

『はい、はい。』












日曜日はやっぱり、人が多いな。


こんなただの公園でさえ


キラキラした笑顔の親子でいっぱい。


あ、転んだ!







『泣くな。』

「…。」

『ほら、泣いたー。』

「時差があったね。転んでから泣くまで(笑)」







太陽は沈み始めている。


気が付けば2人して、2色の色水を持っていた。







「溶けちゃったね。」

『ほんまや。量多いねんな。昔っから、後半はジュース的な感覚で飲んでたわ(笑)』

「あたしもー。」







虫の声がやたらとうるさい。


これじゃ剛の声、よく聞こえないじゃん。







『もうそろそろ帰ろ。』

「…うん。」







途端に寂しい気持ちになって


少しの間うつむいた。


何も言わず、剛の後ろをついて歩いた。











「…、え?何!?」

『ん?なんも言うてへんけど?』

「あれ、気のせいかな?」

『バレたぁ?』

「うん?」








『喋らへんから、ちょっと心配した。』









あたしは剛に見つめられて


体が、熱くなった。


その視線、あたしは感じていたんだ。








「やっぱり?熱い眼差しで見られてる気がしたんだ。」







あたしは剛の胸の中でそう答えた。


きっと今、誰もが羨む2人になれているはず。


そうであってほしい。




この熱を、この温もりを


どうか絶やさないでいて。


また明日、光があたし達を照らす


その時まで。











-*fin*-


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