頂き物
□ユメ
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「…かわ、黒河!オイ!黒河櫂ィ!!」
数学の授業中
テスト間近でみんな真剣に勉強してるなか、余裕ブッこいて居眠りする生徒が一名
『パシーンッ…!』
…が、今先生に叩き起こされた所だ。
「痛いっ!!!」
「テスト前の大事な時期に居眠りするヤツがあるかっ」
彼の名は黒河櫂
どの授業 どんな状況でも平気で居眠りする常習犯だ。
普段もボケっとしているし、初めは誰もが『コイツは駄目なヤツ』と心の中でそう思っていた… が
「今回の期末、またうちのクラスの黒河が学年1位だ」
…どうも、そこらのできそこないとは違うらしい。
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1600番 砂川秋桜様に捧げます
『 ユメ 』
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「黒河君、やっぱり凄いねぇーっ」
「あー、ありがと」
「どうしたらそんな成績良くなれんの?」
「今度勉強教えてーっ」
テスト返却も終わり、黒河の席の周りにできる女子のギャラリー。
「ね、ね、今度遊びに行かない?」
「え…っと」
「行こうよ!ね?」
困ったな。
こういうのちょっと苦手…
こういう時は、いつもアイツに助けを求めるんだ。
女子と女子の隙間から教室にいるアイツを探し、視線でSOSサインを送る。
助けてっ…!
「おい、黒河困ってんだろ」
「えー、また佐川ァ?」
「ま、またとはなんだっ!」
「だぁって、いっつもじゃん」
「オラ、いーからあっち行け!」
「く、黒河君ーっ!いつか行こうねーっ!!」
そう言って抵抗する女子を少し力ずくで追い返す。
「ありがとー、佐川」
「いーや、別に」
佐川は、困ったもんだな と言いながら肩を回すと長いため息をついた。
「…にしてもよぉ」
「んー?」
「お前頭良すぎ」
「…佐川も結構頭いいじゃん。8位」
「いや、お前には負けるしっ!」
「そーかな」
「でもよ、居眠り常習犯が学年トップ…って。明らかに理不尽だよな」
「ハハハ…」
「その脳みそ、半分分けてくれよ」
「右脳と左脳どっちがいい?」
「や、やっぱ遠慮しとくわ」
変な汗を流す様子に苦笑していると、急に佐川が声をあげた。