夢幻神話─本編─

□第三章
14ページ/28ページ

───………‥‥‥


「明日香どうしたの! その怪我?」

 体育の更衣時間に隣の少女──工藤遥がギョッとした表情して明日香を見た。明日香はゆっくり遥を見て、自分の痣だらけの体を見た。

「まさか貴方、暴走族に絡まれたとか!」

「何言ってるですかぁ? そんな事ある訳ないじゃないですか」

 ヘラリと笑って、明日香は手をヒラヒラ振った。

「でも明日香最近疲れてるみたいだし、学校終わったらサッサと帰ってるし……まさかあんた、変な事に首突っ込んでるんじゃ!」

 好奇心の塊のような遥に言われ、思わず苦笑する明日香。困った様な笑顔浮かべるとその場を離れ、明日香は自分の腕時計を見た。

(4時半……2時間位かしら?)

 校門に視線を送ると、明日香は早足で更衣室を出た。教室に着くや否や、クラスメートとの挨拶もそこそこに明日香は教室から出ていった。

 帰宅途中の明日香が一目散に向かったのは近所の裏山。春には桜が、夏にはかぶと虫が、秋には紅葉があるとかで賑やかな山は冬には静かになり、人は滅多に寄り付かない。明日香はその前で立ち止まると躊躇う事無く中へ入った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ