夢幻神話─本編─

□第七章
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「さぁてサッサと済ませるぞ!」

 ニヤリと笑うと翔は右腕を真っ直ぐ突き出した。彼の右手を温かい光が包み込むと、その光は何かを象り──やがて斬馬刀になった。翔が出した斬馬刀──『地』の神官の神器に驚いた声を上げたのは貴之だった。

「ちょ、翔ストーップ!」

 後方で見ていた明日香もギョッとした表情を浮かべた。『六大元素』の神器はそれぞれのチカラを込めた武器──其処には膨大なチカラが込められているので、余程の事が無い限り使用しない──そういう決まりを初代巫女や神官が作ったそうだ。

 翔が大きく横に振るうと彼の足元から地割れが起こり、大きなコンクリートの塊が妖に向かう──妖は近付く塊に気づくと、難なくソレを叩き落とした。

「せ、先ぱ……」

「闇雲に攻撃するのは無駄か……貴之、薫! そっちからも何か仕掛けてくれ! 明日香は小さな事でも良いから何か気付いたら言ってくれ!」

 翔が攻撃の手を休める事無く告げると、貴之は呆れた様に溜め息を吐いた。

「やれやれ、ウチの『地』の神官殿は血の気が多くてかなわんわ」

 だが彼の黄金色の強気な瞳は何処か楽し気な光を宿した、面白いモノを見つけた子供の様な瞳だった。

「ほな行くで! 薫!」

「お、おう」

 貴之は一歩踏み出すと、大きく振りかぶって雷の玉を出した。ソレは勢い良く妖の左頬に当たると、続いてやってきた炎の玉を雷の塊を吐き出して相殺した。そして後方から自分に向かってきた槍状の岩に振り向くと勢い良く凪ぎ払った。
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