novel(long)
□恋の試練〜嫉妬
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ウソップはビビと別れた後、ゼフのレストランへ顔を出そうとも考えたが、さっきまでの動揺した胸の内をサンジに気付かれたく無くて、まっすぐ家に帰る事にした。
実はウソップ、告白された事などこの歳まで一度も無い。
自分の周りでは毎日のように、告白しただとかされただとか良く耳にするが、自分はそれどころじゃ無かったし、ましてや自分からなんてそういう気持ちにもなった事が無かった。
サンジがそんなような事を目をハートにしながら言っているのをよく目にするが、本気なんだかどうなんだか…。
参考にはならないと言う事は、学習した。
自分から告白した事が無いのに、告白されるとは…、どうしたら良いものなのか。
もしかしたら、発明品が思い浮かぶ様に、ピピピっと閃きみたいなのがあったりするのか?
そんな様な事をボケ〜っと考えながら家の玄関へ向かうと、「よう」と手を挙げながら煙草をふかすサンジの姿があった。
「サ、サ、サンジ!どうしたんだ?き、今日はレストランを手伝う日だろ?!」
サンジの顔を見る直前まで、自分の今までの生活から掛け離れた"恋愛"と言うモノが頭の中を巡り捲っていたので、サンジを目の前にしてウソップは思いっきり動揺してしまった。
鍵を開けようとする手付きもモタつき、サンジの足下にガチャリと落とした。
「何さっきから慌てふためいてるんだ、てめぇは。何かあったのか?」
サンジの言葉にウソップの肩が、ギクリと揺れた。
「な、な、何でもねぇ!鍵、貸せ!」
サンジは足下に落ちている鍵を足先で上手に持ち上げ、チャリとウソップに蹴り上げた。
ドアを開けて二人続けて部屋に入るが、その動きがまたぎこちなく…。
「サ、サンジ、レストランは?」
「ちょっと抜けてきた。ホラよっ」
サンジは手に持っていた良い香りのするいつもの紙袋をウソップに渡した。
「おぉ!サンキュー♪わざわざ持ってきてくれたのか?」
「ジジイがうるせぇんだよっ」
ウソップは紙袋を覗き見しながら、ゼフに感謝した。
夕食の事でも当然あるが、頭の中からさっきまで張り巡っていた事から、今は切り離したかったのだ。
「ウソップ」
「ん?お茶位飲んでいけるんだろ?待ってろ、すぐ煎れっから」
「ウソップ、何かあったんだろ?」
サンジはさっきと同じ質問を再び繰り返した。
サンジのその言葉で、ようやっと頭から消えかけていた今日の出来事に、再び引き戻されてしまった。
「何でもねぇって!さっきっから何なんだよっ」
どぎまぎしながらサンジを見ると、あまり人に見せる事の無い表情を一瞬してたかと思うと、プイっとそっぽを向いてしまった。
「別にてめぇの事なんざ、どうでもいいけどよっ!」
「散々聞いといてそれかよι」
いつものサンジとは明らかに違う態度に見て取れた。
ウソップは少し考え込み、何か吹っ切った様に口を開いた。