novel(short)

□STAND
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「なぁサンジ。今度の島、一緒に廻らねェか?」

俺は煙草を吹かしながら、いつものように夕食の片づけをしていた。

横では、半強制的に手伝いをさせているウソップがいつもの冒険奇談を口走りながらテーブルを拭いてたハズ…。

危ね!皿を割るとこだったι

一瞬、手元のお皿だけに集中し、何故そうなったかという過程が頭から消し去られる。

「サンジ?」
「ん?」

皿の水滴を丁寧に拭き、他の皿と重ねる。

気配を感じ振り返ると、じっとこっちを見つめる奴がいた。

「聞いてんのかよ?」
「聞いてたぜ、お前の法螺話」
「アホ、違うって。買い物の話」

お、思い出した!そ、そうだった…

ウソップから誘われる事など、今まで無かった。

大抵は、俺が強引に引っ張ってくか、ナミさんの指示だ。

それ以外は、気付くといなくなってるんだ、こいつは。

「もしかして、予定あんのか?」
「ねェけど」

実は次の上陸は、一人で廻ろうと思ってた。

ちょっと、新しい食材を仕入れてみようと島中の店を廻り尽くそうと考えてた。が、もちろん、予定変更だ。

んなの、あったりめェだろ!

こんな機会逃したら、次は何時こいつと"デート"出来るか…

「よかった。んじゃ、約束な!」


ナミさんが言うには、あと3日ほどで島に到着らしい。

それまでの3日間の食事は、あのルフィでも大満足するくらいに俺は腕を振るいまくった。


さすがナミさん、予定通りに島に到着。

それぞれ上陸の準備を整え、下船して行く。

今回の船の見張りに残るのはロビンちゃんだ。

「ロビンちゅわ〜ん、いってきま〜す♪」

いつものデッキチェアを見るが、ロビンちゃんの影は無し。

キッチンへ行ってみるとコーヒーを沸かす所だった。

「ロビンちゃん、そんな事、俺がやりますよ〜」
「あら、いいの?誰か待ってるんじゃなくて?」
「い、いいんですよ、ちょっと位待たせて置いたって」

ロビンちゃんには読書の続きをしておいて貰い、迅速且つ味は落とさずコーヒーを煎れ、ロビンちゃんの所へ向かう。

「どうぞ、ロビンちゃん♪」
「ありがとう、コックさん。良い香り」

ロビンちゃんが再び本に目を落とすのを見送ると、辺りを見回した。が、見当たらねェ。

「長鼻君なら、先に行ってるからって」
「Σ!!」

ロビンちゃんに手を振りながら、素早く下船し、街に向かって走り出した。
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