novel(event)
□火のない所に煙は立たない〜3
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ウソップはその日1日どうにか授業を終えてきたが、ほとんど自分の行動に記憶が無い。
昨日隣の住人ゾロに突然誘われたと思えば、夜には弁当屋の店長に想いを告げられキスまでしてしまった。
今まで女の子に対してだってそんな経験無いに等しく、毎日勉学だけに励んでいた純情少年には1日に色んな事が起こり過ぎた。
ましてやその想いを受け入れてしまった自分に驚いたという以上に、恥ずかしくて仕方がない。
行きづらい気持ちも当然あったが、昨日の出来事が真実であったのか、もしかして自分だけの想像の世界だったんじゃないのかと確かめたい気持ちでいっぱいだった。
重たい足取りで店に向かうと、いつも通りの笑顔でOLさんに対応しているサンジの姿が見えた。
「よぅウソップ、おかえり」
サンジがウソップに向け声を掛ける。
もちろん、サンジの方も何とも言えない照れ臭そうな笑顔で。
「///こ、こ、こんちはιι」
ウソップが手を挙げ応えようとすると、その場にいたOLさんが同時に振り返る。
「こんにちは、君も良くここのお弁当買いに来てるよね?」
「え?あぁ、はい…ι///」
「そこの高校の子でしょ?ねぇ今日はどれにするの?君のオススメはどれ?」
スーツで決め込んだお姉さんから見れば、今時の派手さのないウソップの様な少年は、母性本能を擽り、構いたくなる存在なのかもしれない。
頬をピンク色に染め、恥ずかしながら慌てているウソップの視線はサンジに助けを求める視線であったのだが、その潤んだ瞳が逆にサンジの嫉妬心をみるみる煽っていく。
「お姫様、そんな泥臭いガキなんか相手にしてないで。君に恋する王子様が心待ちにしてるぜ。デザート2つサービスしといたから♪」
「本当!?だから好きよ、サンジ君♪ありがと〜!」
ぽつんとウソップをその場に残し、手を振りながらお姉さんは行ってしまった。
笑顔で手を振るサンジにウソップが視線を向けると、チョイチョイと指を曲げ、近寄れと合図される。
何も考えず言われた通りにサンジに近付くと、頭を力任せに両手で掴まれ、ぶつかる勢いで顔を近付けてきた。
「痛てっ!」
「てめぇ、年上のお姉様に色目使うんじゃねぇよ!」
「はぁ?!いつ誰がそんな事したんですか!」
「お姉様といい、隣の奴といい、原因はお前なんだよ!」
「し、知らねぇよ、そんな事…ι何で俺の所為…」
「あぁ!?」
サンジの鋭い目つきにウソップは固まる。
あの噂は、きっと本当の事だ!!などと思いながら、サンジに掴まれた腕に手をやる。
「と、とにかくこの手、放して下さいよι誰かに見られると困るんで…ι」
「わかったよ!」
サンジの手の緩みにホッと息吐く暇も無く、強引に唇を奪われてしまった。