novel(event)
□決戦は誕生日〜battle 3
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俺とあいつがキスしてから、一ヶ月近く経つ。
無理矢理した事は、今考えりゃ少しは無茶しちまったとは思うけど、今更どうもねぇだろ?
俺はあいつが好きだし、あいつも俺が好きなはずだし。
トコトンあいつは意地になって否定しやがったけど、あんなあからさまな態度をすりゃ解るっての。
俺があいつに笑顔を向けりゃあいつも可愛い笑顔を返してきやがるし、話しかけりゃ、作業してても手を止めて話してくれるし、俺の作った料理だって美味い!美味い!って幸せそうな顔して食ってくれてる。
俺に好意がある以外何があるってんだ?
とはいうものの、流石の俺もかなり落ち込んでるι
だってそうだろ?
あいつ、俺が言おうとしてる事全く聞こうともしねぇで…な?ひでぇだろ?
「サンジ君…バカじゃないの?」
「えι?」
夜のキッチン。
ナミの恋愛相談室?
あの日から、いや、あれ以前からもサンジはナミにウソップとの事を相談していた。
と言うのも、ナミにはサンジのウソップへの特別扱い…好意からくる態度がバレバレだったからである。
たぶん、ナミだけではなく、他のクルーにも全て。
ナミがサンジの煎れた紅茶のカップを手に取りながら、呆れ顔で溜め息を吐く。
「それって特別な事じゃないじゃない…。あいつは誰にでも愛想良いし、自慢の法螺話に耳を貸せばべらべらと嬉しそうにしゃべるし、料理だって目の前に出されれば、美味い美味いって何でも食べるわよ」
「そ、そうかなι?」
「そうよ。それでも明らかにサンジ君に対して他の奴らと違うのは確かだけどね。で、どうなってんの?プレゼント貰ったんでしょ?なのに最近あまり一緒にいないじゃない…気持ち確かめたんじゃないの?」
灰の落ちそうになった煙草をいつまでも銜えてウロウロ歩き回っていたサンジだったが、ナミの言葉で表情を変え、持っていた灰皿で煙草を捻り消し、ナミの前に腰を掛ける。
「それがあいつ、俺の事好きじゃねぇって、仲間としか見てねぇって言いやがった。しまいにゃ怒り出して…」
「怒ったって……サンジ君、あいつに何かしたんじゃないでしょうね?」
ナミの的中した問いにギクリと肩を揺らした事は言うまでもなく、サンジは渋々白状する。
「ハァ…バカねぇιこれだから男って」
「だってナミさ〜ん、あいつも男だし、両思いならいいんじゃねぇかって」
「両思いならって…本人の気持ちを確かめる前に、ちゃんと伝えたんでしょうね?サンジ君の気持ち」
「…じ、実はまだ言ってねェι」
「何やってんのよ〜、肝心なのはそこでしょうが!それにあいつ、何か私達の事誤解してるらしいわよ」
「俺とナミさんを?」
サンジの頭に過ぎるウソップのあの日の言葉。
『サンジ、確認してぇんだけど、お前、ナミが好きなんだよな?』
『は?何言ってんだ今更…、当たり前の事聞くんじゃねぇよ』
『だ、だよな!やっぱそうだよな!…ならこれはやらねェ』
「それであいつ…、でも俺はナミさんも大好きで〜す♪」
「ハイハイι」
今、すぐにでもウソップの所に飛んで行きたかったが、明日は丁度、4/1ウソップの誕生日。
明日には冬島にも着く予定だ。
サンジは逸る気持ちをひとまず落ち着かせ、食材のチェックをいち早く済ませ、上陸準備を整えるのだった。