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□秋模様10のお題〜05 万華鏡
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「すげー、ウソップ!」

甲板にチョッパーの可愛らしい甲高い声が木霊する。

「何だ?何だ?どうした?チョッパー」

その声をいち早く聞きつけたルフィがバタバタと走り込んできた。

チョッパーの手には小さな筒。

きちんと色がみで筒を巻き込んでいて、何処かの雑貨屋で見た事があるような無いような…。

「ウソップ、何だ?それ」

筒を見ただけじゃ全く意味不明なソレを指さし、ルフィが聞いた。

「万華鏡ってんだ。チョッパー、覗いて見ろよ」
「え?のぞくって?」

ウソップがチョッパーの手にある万華鏡の小さな穴を指さした。

「空に向けて覗くと、余計に綺麗に見えるぞ」

チョッパーはウソップの言う通りに空に向け、小さな穴をそろりと覗いてみた。

「うおぉ、すげぇ〜!きれいだ〜!」

そんなチョッパーの言葉に大満足な表情のウソップ。

「何だよ!チョッパー!俺にも見せろよっ!」

隣にいたルフィが待ちきれずにジタバタ暴れ出すと、仕方なくチョッパーは万華鏡を顔から離した。

チョッパーが手渡すのと同時にルフィが即座に覗き込む。

「うぉ、何だこりゃ〜!きれいだな〜!」

ルフィがグルグルと万華鏡を回転させている横で、チョッパーがウソップにキラキラとした目で問いかけた。

「すごいな〜ウソップ、これどうやって作ったんだ?」
「あ〜、あのな、筒の中に鏡で作った三角すいを入れて、底にビーズや石や何か光るモノなんかを透明のケースに入れて付けるんだ。で、反対側に覗く穴を作れば、完成だ」

ウソップにしてみたら造作も無い事だろうが、チョッパーやルフィから見たら尊敬に値するほどの事だろう。

「お、おいルフィ、あんまり乱暴に扱うなよ〜ι」
「ウソップ、これ、おっもしれぇな〜。"不思議棒"だなっ!アレ?」

何て事を、言った側から…

ポーンッ!ボチャッ!ブクブクブク…

「ギャ〜!!」

ルフィが手を伸ばすが間に合わず、万華鏡はブクブクと海の底…。

「何やってんだぁ!ルフィ!」
「だ、だってよぉ、おもしれぇからグルグル回してたら、吹っとんじまったんだもんよぉι」
「グルグル回すんだって、限度があるだろがっ!」

ウソップはプクプクと水泡が上がっている波間を見ながら、がっくりと肩を落とす。

「ごめんな〜、ウソップ〜」
「いいよ、もう。沈んじまったもんはしょうがねぇだろ?」

ウソップにやっと苦笑混じりだが、いつもの笑顔が戻り、2人がホッとしたのも束の間、

「フッフッフッ」
「ど、どうしたんだ?ウソップ」

ウソップの唐突な含み笑いに不気味さを感じたチョッパーがウソップの顔を覗き込むと、ニヤリとした顔つきで、後ろ手から何かを出して見せた。

「じゃ〜ん、実はもう一つ作って置いたんだよな〜」
「うぉぉ〜!ウソップ、すげぇ〜!」

今度は2倍のキラキラとした瞳がウソップに向けられた。

「な〜に騒いでんだよ、お前らは」
「お、サンジ。お前も覗いて見るか?」
「ん〜、なんだこれ?おっとっ」

ポチャンッ!ブクブクブク…

「悪ぃ。何だったんだ?今の」
「「………ι」」
「どした?お前ら」

今夜、見張り番のウソップに、デザート付きの豪華な夜食が出された事は言うまでも無い…。


[end]


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