odai
□秋模様10のお題〜05 万華鏡
1ページ/2ページ
「すげー、ウソップ!」
甲板にチョッパーの可愛らしい甲高い声が木霊する。
「何だ?何だ?どうした?チョッパー」
その声をいち早く聞きつけたルフィがバタバタと走り込んできた。
チョッパーの手には小さな筒。
きちんと色がみで筒を巻き込んでいて、何処かの雑貨屋で見た事があるような無いような…。
「ウソップ、何だ?それ」
筒を見ただけじゃ全く意味不明なソレを指さし、ルフィが聞いた。
「万華鏡ってんだ。チョッパー、覗いて見ろよ」
「え?のぞくって?」
ウソップがチョッパーの手にある万華鏡の小さな穴を指さした。
「空に向けて覗くと、余計に綺麗に見えるぞ」
チョッパーはウソップの言う通りに空に向け、小さな穴をそろりと覗いてみた。
「うおぉ、すげぇ〜!きれいだ〜!」
そんなチョッパーの言葉に大満足な表情のウソップ。
「何だよ!チョッパー!俺にも見せろよっ!」
隣にいたルフィが待ちきれずにジタバタ暴れ出すと、仕方なくチョッパーは万華鏡を顔から離した。
チョッパーが手渡すのと同時にルフィが即座に覗き込む。
「うぉ、何だこりゃ〜!きれいだな〜!」
ルフィがグルグルと万華鏡を回転させている横で、チョッパーがウソップにキラキラとした目で問いかけた。
「すごいな〜ウソップ、これどうやって作ったんだ?」
「あ〜、あのな、筒の中に鏡で作った三角すいを入れて、底にビーズや石や何か光るモノなんかを透明のケースに入れて付けるんだ。で、反対側に覗く穴を作れば、完成だ」
ウソップにしてみたら造作も無い事だろうが、チョッパーやルフィから見たら尊敬に値するほどの事だろう。
「お、おいルフィ、あんまり乱暴に扱うなよ〜ι」
「ウソップ、これ、おっもしれぇな〜。"不思議棒"だなっ!アレ?」
何て事を、言った側から…
ポーンッ!ボチャッ!ブクブクブク…
「ギャ〜!!」
ルフィが手を伸ばすが間に合わず、万華鏡はブクブクと海の底…。
「何やってんだぁ!ルフィ!」
「だ、だってよぉ、おもしれぇからグルグル回してたら、吹っとんじまったんだもんよぉι」
「グルグル回すんだって、限度があるだろがっ!」
ウソップはプクプクと水泡が上がっている波間を見ながら、がっくりと肩を落とす。
「ごめんな〜、ウソップ〜」
「いいよ、もう。沈んじまったもんはしょうがねぇだろ?」
ウソップにやっと苦笑混じりだが、いつもの笑顔が戻り、2人がホッとしたのも束の間、
「フッフッフッ」
「ど、どうしたんだ?ウソップ」
ウソップの唐突な含み笑いに不気味さを感じたチョッパーがウソップの顔を覗き込むと、ニヤリとした顔つきで、後ろ手から何かを出して見せた。
「じゃ〜ん、実はもう一つ作って置いたんだよな〜」
「うぉぉ〜!ウソップ、すげぇ〜!」
今度は2倍のキラキラとした瞳がウソップに向けられた。
「な〜に騒いでんだよ、お前らは」
「お、サンジ。お前も覗いて見るか?」
「ん〜、なんだこれ?おっとっ」
ポチャンッ!ブクブクブク…
「悪ぃ。何だったんだ?今の」
「「………ι」」
「どした?お前ら」
今夜、見張り番のウソップに、デザート付きの豪華な夜食が出された事は言うまでも無い…。
[end]
→あとがき