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□春模様10のお題〜07 ストロベリーパフェ
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「サンジく〜ん、留守番お願いね〜」
「は〜い♪ナミさん、ロビンちゃん、ごゆっくり〜♪」

久しぶりに到着した島に次々と下船していくクルーの足取りは軽い。

女性陣へ笑顔を向けながら、メリーと共に一人船から見送るサンジの心中はズシリと重い。


「なぁなぁウソップ、今日は何を買うんだ?」
「ん〜、色々買いてぇ物があるけど、とりあえず町を探索してからだな」
「大きな本屋や薬屋もあるかな?」
「船からでっけぇ町が見えたから、かなり期待できそうだぜ、チョッパー」
「森や林も見えたぞ!」
「のんびり遊んで行けそうだな!」
「えへへ、楽しみだな♪」


サンジは船の手すりに肘を突き細長い煙を立ち上げながら、微かに耳に届いてくる二人の会話に聞き入る。

いつものように先陣を切って駆けて行く船長を追い掛ける様に、大きな鞄を提げた癖毛とド派手なピンクの帽子を被った二つの後ろ姿を見送りながら、何とも言えない歯痒い気持ちを、煙と共に空へと吹き上げた。



ガタガタ…
明日の食材の仕入れの前に、残りの食材でストック用のスープを煮込む為キッチンに立っていたサンジは、
甲板からの物音と人の気配に気付き、ドアから顔を覗かせる。


「あ、サンジ」
「お?チョッパーか、どうした?」


サンジは目の前に立ちはだかる曇った表情のチョッパーを見上げる。

いつもの可愛らしい姿とは違い、人型に変形した姿で腕には膨らんだビニール袋を提げていた。


「ウソップが土手から転がり落ちたんだ」
「ウソップが?」


サンジがジロリと鋭い視線を向けると同時に、チョッパーの背中越しから力無い突っ込みが入る。


「ど、土手なんてもんじゃねぇ、崖!いや絶壁!とも言えるほどの高さだった!そこで足を滑らせ助けを求めていた子供に、俺は手を伸ばし自分を犠牲にしてだな…」
「チョッパー、怪我の程度は?」
「ただの軽い捻挫だ」
「大したことねぇんだろ?」
「大したことねぇ」
「お、お前ら、無視すんじゃねぇ!」


チョッパーの背中から顔を覗かせ声を張り上げるウソップの言葉に全く耳を貸さず、サンジは黙って男部屋の扉を開けた。


「ったくよ、てめぇはなんだってそんなとこに行ってんだよ…、買い物に行ったんじゃなかったのか?」
「あのな、町へ行く途中ウソップがいちごを見つけて…、持って帰ったらサンジが喜ぶぞって」
「チ、チョッパー、サ、サンキュー。もう下ろしてくれていいぞ」
「ウソップ暴れるな!ちゃんと手当してからじゃないと駄目だ!」


二人のやり取りを無言で眺めるサンジを甲板に残し、チョッパーはウソップを負ぶったまま男部屋へ降りて行った。
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