novel(event)
□Halloween Halloween
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「よお!」
「サンジ、お前まで仮装してきてくれたのか…ι」
「決まってんだろ?この格好」
サンジのファッションは一目瞭然、吸血鬼ドラキュラ。
黒スーツに黒マント、口にはしっかりと牙を生やし、口元から赤い血糊まで垂らされている。
「この時間仕事じゃねぇのか?」
「ジジイに頼んでちょっと抜けてきた」
「悪かったな、忙しいのに。言ってくれれば、俺がチビナス君を迎えに行ったのに」
「いいんだ、楽しそうだったし。それになるたけてめぇに会いたいしな」
「はぁ?ま、真顔で冗談言うんじゃねぇよ!!」
「冗談なんかじゃねーよ。俺はいつでも大マジメ」
「////ι」
サンジは真っ赤になったウソップに軽くウインクする。
あれ以来、あのミニ運動会以来、何故かサンジが妙にアプローチを掛けてくる様になった。
ウソップ自身、サンジの軽い冗談としか思っていないつもりだが、会う度にそのアプローチがデカくなってきてる気がするのは思い過ごしか…?
「おい、ながっぱな!!!」
ガンッ!
「痛ぇ〜〜〜〜〜!!」
ウソップの足に蹴りを入れた紫色の物体がしゃべってる。
「おれのこと、むししてんじゃねぇよ!」
「ご、ごめん、ごめんチビナスく…!!ってナス!?」
この紫色の着ぐるみの正体は…ナスである。
「ぶははは!!これ笑えるだろ?」
「サンジ、お前の仕業かよι」
隣でゲラゲラと笑うドラキュラに冷たい視線を浴びせ、ウソップは宥める様にチビナスの背中を撫でる。
「このぐるまゆが、むりやりおれにきせやがったんだ!」
「ったく、仕方ねぇ兄貴だなιでも、すげぇ似合って…」
「なんだよ!」
「あ、いや、か、可愛い、可愛いよ!!」
「ほんとか?」
「ああ、ものすっげぇ可愛い!俺はこういうの大好きだな〜!」
「そっか〜、んじゃおれこれでいい!」
ニコッ♪
ドキュン///
ち、チビナス君、その笑顔可愛いすぎる…キュン死にしそう…///
なんて女子高校生の流行語なんぞを口にしながら、この仕事を選んだ事にウソップは感涙する。
「おいウソップ、俺の格好はどうよ、まさにキュン殺しだろ?」
「あ〜別に。ハロウィンに吸血鬼って定番だろ?」
「買Jッチーン!あんだとクラァ!!」
サンジはウソップのこめかみにグリグリと"梅干し"を食らわす。
「いて!痛ぇってサンジι!!」
「てめぇ少し前まで敬語使ってたくせによ〜」
「お前がタメ口でいいって言ったんだろーが!!」
「タメ口でいいとは言ったけど、小馬鹿にしろとは言ってねぇよ!」
端から見ればじゃれ合ってるとしか見えない二人にビビやコニスは呆れ顔。
「おいながっぱな!あほなぐるまゆとふざけてないで、はやくおかしくれよ!」
「へ?あ、そうかそうか、悪ぃ悪ぃι」
ウソップはどうにかサンジの技掛けを振り払い、チビナスの持っていた袋にお菓子を詰めてやった。
「ナミちゃ〜ん!ロビンちゃ〜ん!いっしょにたべよ〜!!」
女の子の輪に小さなハートを飛ばしながら走って行くチビナスの後ろ姿を見ながら(ナスだけど)、ウソップの心にちょっとした不安が過ぎった事は言うまでも無い。
「後は…ゾロ君か。こういうの苦手そうだからな〜来ねぇかな〜ιん?あれゾロ君か?」
サンジもウソップが向いている方へ目をやると、白いシーツを被っただけのゾロ君らしき子供と、隣にはカボチャの着ぐるみに麦わら帽子という妙〜〜な格好をした少年がこっちへ向かって歩いてくる。