novel(event) 

□スーパーストロングな恋煩い
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「あれ?いねぇ…なぁフランキー知らねぇ?」
「「しらね〜!」」
「どこ行ったんだ?あいつ」
「フランキーなら…」

その場にいた全員がロビンの指差す方向を振り向く。

「うぉっ!ニコロビン!余計な事を…ι」

ウソップが足を進める前にフランキーは身を隠し駆け出した。


「…なんか俺、避けられてる?ι」
「なんだ〜ウソップ、お前フランキーになんかしたのか?」
「してねぇよ!おめぇじゃあるまいしι」

ルフィに突っ込んでいるウソップを眺めながらロビンは呟く。

「あれは避けているのじゃなく、私には追っている様に見えるわ」

ウソップが動く度、同じ様にチラチラと見え隠れする水色の髪が海風に揺れている。

「どした?ロビン」
「いいえ、何でもないわ」

そう言いながらクスクス笑うロビンを見て、ウソップは大きく首を傾げるのだった。




「あ!見つけた〜!!フランキーお前何処行ってたんだよ!俺の新兵器一緒に考えてくれるって言ってたじゃねーか!!」

ウソップがサンジと夕食の準備をしてる隙をみて、フランキーはこそこそと開発室へ忍び込もうとしていた。

「ば、馬鹿野郎!ι俺は船の整備やら新開発なんかで忙しいんだ!」
「そんなら俺だって手伝いてぇのに」
「///て、てめぇみてぇな素人が付いて来ても足手まといなだけだ!」

普段なら仲間のこんな不躾な言葉なんて大して気にもならない筈なのに、この時ばかりは何故か無性に腹が立った。

「なんだ〜その言い方!そりゃ俺は船大工じゃねぇし船に関しても素人だけど、少しでも船の事解りたいし、お前の力になれりゃあいいなって」

ウソップはフランキーにそう迫るがフランキーは背を向けたまま。

「おいフランキー!聞いてんのか!?何黙ってんだよ!」
「………」
「わかったよ!いいぜお前がそうしたいんなら。俺は一人でも構わねぇし!今までだって一人で色々やってきたんだ、これからだって出来ねぇ事はねぇ。けどお前の技量と俺のセンスが揃えばもっとすげぇ事が出来るって俺は思ってる。俺…お前は俺の事ちゃんと認めてくれてると思ってたのに、そう思ってたのは俺だけだったんだな…」

ウソップはそう言うと開発室の扉に手を伸ばす。

「最後にこれだけは言わせてくれ。お前が俺をどう嫌っていようが、俺はお前の事好きだから」

ウソップは相変わらず背を向けたままのフランキーに零れんばかりの笑顔を向け、部屋を出ようと足を進めた瞬間、ウソップの体はフワリと宙に浮き、部屋の中へと引き戻されてしまった。

「えι!?」

両肩を掴まれ、目の前にはこれでもかという位に口をへの字に曲げたフランキーが自分を見下げている。

「な、なんだよιι」

フランキーの只ならぬ威圧感に腰が引けつつも、ウソップは負けじと睨み付ける。が、みるみるフランキーの顔は脅威的にそれでいて真っ赤に染まっていく。

「そ、そんな怖い顔すんなよ…もう邪魔するつもりねぇしι」

ウソップはフランキーの腕から逃れようと体を捻るが肩を掴んだ手の力はますます強くなる。

「い、痛ぇって!」
「わ、悪ぃ…」

口ではそう言いつつもなかなかフランキーの腕は離れない。

「だから何なんだよ!狽ヘっ!!もしかして喧嘩売ってんのか!?
そ、それだけは止めとけ!大怪我するから…俺様が!!」
「ぶっ!ぎゃははははは!」
「煤I?ι」
「そりゃそーだ!スーパーな俺様相手じゃてめぇなんか大怪我なんてもんじゃ済まねぇよな〜」
「って笑い事じゃねーよ!」

フランキーの笑い声と共に腕からすり抜けたウソップがお決まりの突っ込みを入れる。

「おおっと!」
「ん!?」

ウソップが引き戻そうとした手をフランキーが掴み取る。

「?」
「ウソップ、俺はてめぇに喧嘩を売る気はねぇが…」

フランキーがウソップの耳元に近づき、何やら小声で囁く。

「///んな!な、何言ってんだお前!俺はそういうつもりで言ったんじゃねぇよ!」
「いーや、そうだ!そうに違いねぇ!それに俺は本気だ!これからはおめぇに手取り足取り教えてやっから覚悟しとけ!!」
「///な、何をだよι!ま、待て待て落ち着けフランキー!落ち着いてよ〜く考えろ!」
「俺はさっきから落ち着いてるぜ。そうか〜、おめぇも俺に気があるとは思わなかったぜ。まあ良く考えたらこの所毎日俺を追っかけてたよな」
「煤I?知ってて逃げてたのかよ!」
「あー、逃げてたんじゃねーな…ターゲットに狙いを定めてた?みたいな♪」

フランキーはニヤリと笑いながら、左手のひらの標準をウソップへ合わせる。

「みたいな♪じゃねぇよ!!と、とにかくιお前の勘違いだから!俺はお前の事」
「好きなんだろ?」
「だから、それは〜ιι」

ニヤニヤした表情のフランキーとは対照的にウソップは顔を紅く染め、

「もうお前と話してても埒あかねぇ!お、俺は飯食いに行くから!!」
「あ、逃げるんじゃねぇ!長っ鼻!!」

小走りで梯子を駆け上がるウソップをフランキーが追い掛ける。

漸くデッキに上がると、タイミング良くキッチンから夕食を知らせるサンジの声が響き渡った。

「逃げても無駄だぜ!」

そのフランキーの叫び声にキッチンへ向かおうとしていたクルーが振り返る。

「どうした?ウソップ」
「ゾロ!ロビン!助けてくれ!!」

ウソップがとっさに近くにいたゾロの後ろに隠れる。

「てめぇ、そこどけ!」
「てめぇこそ何なんだ?ウソップに何しようってんだ!」

ゾロが空かさず刀に手を掛けるが、所々から幾つもの手が生えてきて…

「「ロビン?」」

ゾロとウソップが手の出所のロビンに目を向けると、クスリと微笑みながら能力を解く。


「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて何とかって言うでしょ♪」
「は!?何だそれ…ι」
「そのままの意味よ」

唖然としているゾロとウソップを前に右腕を構えたフランキーがゆっくりと近づく。

「ウソップ、観念した方が良さそうだぜ、アイツ…本気だ、てめぇに惚れてる」
「狽ィ前が言うと冗談に聞こえねぇんだよ!!ι」

ウソップは数歩後退りすると、一目散に駆け出した。が、サウンドサニー号造船に関して全てを手に掛けた大工に勝るはずもなく、

「何処に逃げようがこのサニー号の中じゃお前は袋の鼠、逃がしゃしねぇ!観念しろ長っ鼻!ストロングライト〜〜〜!!!」

「てめぇら飯だって言ってんだろ!早くしねぇと…って何やってんだι」

キッチンから銜え煙草で顔を出したサンジの目の前に、助けを求めるウソップの必死の顔。

「サ、サンジぃぃぃ〜ιι」

ウソップの叫び声も虚しく、フランキーの右腕と共に勢い良く引き戻されてしまった。

「ロビンちゃ〜ん、あんな奴らほっといて俺の愛がたっぷり籠もったディナーをどうぞ〜♪」
「ありがとう」
「あーあ、とうとう捕まりやがった…」

ゾロはそう一言呟きキッチンへと向かい、サンジと共にロビンもキッチンへと姿を消した。



フランキーの腕の中で暫く暴れていたウソップだったが漸く観念し、溜め息を吐きながらも大人しくなる。

「フランキー…マジで言ってんのか?お前ι」
「おおよ!マジよ、大マジよ!!」
「なんかどーも信じられねぇんだよな〜俺はι元々こういった事って苦手だし…ι」

ウソップは顔を紅く染め、照れながらポリポリと頬を掻く。

そんなウソップの仕草が益々フランキーの心を躍らせる。

「そんなてめぇに取って置きの新兵器を考えてやったぜ」
「何?!本当か?フランキー!!」



嫌よ嫌よも好きのうち。とは昔の人はよく言ったものだ。

名狙撃手もターゲットにされてしまえば、落とされるのも時間の問題。

それに何と言っても、この手のタイプにはコレが一番。



「てめぇの体にも俺様の様にスーパーな武器を仕込むわけよ!」
「俺の体に?武器を???」
「その名も“新兵器スーパー長っ鼻1号”!!」
「って、まんまじゃねーか!!つーか自慢の鼻を弄くられてたまるか!!」
「そーか?俺みたいにスーパーな体になれんのに…おめぇ結構ノリが悪ぃな〜ι」
「ノリで改造されてたまるか!!!」



その後、ストロング長っ鼻2号、ファイヤー長っ鼻3号の話があったとかなかったとか…ιι


[END]


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