お題短編(六花)

□キスよりも難しいのは
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「あ!ザキ、ザキ」

「ザキって誰」

「君だよ、君」



・・・笑っていうなよ






3Zの教室。


俺を手招きで呼ぶと窓から一人を指差す。



「やっぱカッコイイよー」


放課後で、校庭ではサッカー部が黙々と練習していた。







(別にカッコイイとは思わない。サッカーはいいけど)





「それより日誌は書き終わった?」

「いや、まだ。ヘへ」


にこやかに笑ってる場合ではないのに、笑ってる彼女を見て軽くときめいた。


それからペンを振りながら、首を傾げ聞いてきた。


「ザキは部活だよね?」

「まぁね」


頷くと、だよねとペンを置く。



「んじゃ急ぎましょう。ハイ」

「は?」


日誌を差し出し、俺が受け取るとまた窓から校庭に視線をやる。



「なんで俺?」


俺の疑問に目も向けず答える。



「えー?だってトシくんや総悟に殴られたくないしょ」

「・・・」


よく知ってるもので、俺達の関係を出してきた。



(そんな事、分かってる)


早く行かないと、二人に何か言われるのは分かってる。


(それよりなんで、俺だけ“ザキ”なんだ?)







日誌を書き終えた。


だから声をかけようと、顔を上げた。





「キャー!また決まった!」



目を輝かせて、アイツのゴールを喜ぶ。


その態度にイラッとした。





「やっぱカッコイイ!うん最高ー!」


拍手を満面の笑みでしている。







――俺には向けられない笑顔。




――俺をちゃんと呼ばない唇。






(隙だらけ・・)


部活の癖か、それとも彼女が隙が有りすぎなのか、





「日誌の負担分だから」


彼女に、日誌を押し付けて腕を引く。



「は?、んっ」



簡単に、俺の腕の中で大人しくなった体。



甘く痺れる唇。





それでも、




(分かってる)










キスより難しいのは
(こんな事したって得られないだろ?分かってる)








Fascinating様よりおかりしました。





アトガキ。


林檎へのプレゼント第二弾!

お祝いになってないのがミソ(ォィ!)


ま、押し付けてプレゼントなんで、ね。うん。(いい聞かせ)



読んで下さった方ありがとうございました!(土下座つきでっ!)
 

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