戦国BASARAかってに外伝
□ただいま〜のご挨拶
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所は春の上田城。
城主真田昌幸が、主君武田信玄と共に戦場に赴いてから早ひと月、上田城は桜の季節となっていた。
「はぁ…いい天気だねぇ…」
佐助は、上田城の縁側に腰掛けて庭の桜を眺めていた。
すると…
ドドドドド!!
突如、巨大な地響きが春の麗らかな空気に響き渡った。
「な、なんだぁ?!」
驚いた佐助が立ち上がって辺りを見回すと…
「うおおぉ!!べぇ―ん―まぁ―るぅぅ!!!」
後の真田幸村である弁丸の父、真田昌幸が地響きを響かせ、砂埃を巻き上げながら突進して来た。
「ま、昌幸様?!」
「今、帰ったぞぉぉぉ!!」
と、叫ぶやいなや昌幸は、佐助を力の限り抱きしめた。
「ぎぃやあああ!!」
と、佐助は悲鳴を上げた。
ベキベキバキ!!と、骨の折れる音がした。…ような気がした。
「うおおぉ!!会いたかったぞ息子よぉぉ!!!」
昌幸は、己が抱きしめているのが佐助とも気づかず、益々力強く佐助を抱きしめた。
「ま゛、ま゛ざゆぎざば…俺…ざずげです…」
と、佐助が必死に間違いを指摘すると、昌幸は、己の腕の中を確認し「ムッ!すまぬ」と言って、パッと佐助を離した。
佐助は、「ぐはぁ…」と、呻いて、その場に崩れ落ちた。
一方、昌幸は…
「ぬおおお!弁丸はいずこじゃぁぁぁ!」
と、再び地響きを轟かせ、砂埃を巻き上げながら走り去った。
残された佐助は…
「うぅ…いつか辞めてやる…」
と、一人涙を流した。