戦国BASARAかってに外伝
□野郎共 VS Guys
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きっかけは前田慶次の一言だった。
「独眼竜と西海の鬼…どっちが強いのかね〜?」
その言葉に、その場に居合わせた伊達軍、長曾我部軍の兵士達はぴたっと動きを止めた。
豊臣との決戦に際し、伊達と長曾我部が手を組むことになってから早数日、現在長曾我部軍は、大将の長曾我部元親共々、伊達政宗の統べる奥州の地に居た。
「なぁ…アンタらはどう思う?」
と、何の気なしに慶次は言った。
すると…
「「「はっ!アニキの方が強ぇに決まってんだろっ?!」」」
「「「はっ!筆頭の方が強ぇに決まってんだろっ?!」」」
と、伊達、長曾我部の兵士達が同時に言った。
………
「「「アァン?!」」」
しばしの沈黙の後、両軍の兵士らは同時に睨み合った。
「テメェどこに目ぇつけてやがる?!筆頭の方が海賊なんかより百倍強ぇんだよっ!」
と、ある伊達軍兵士が長曾我部軍兵士に言った。
「あぁ?!てめぇこそ目が節穴なんじゃねぇか?! アニキの方が、丘の野郎より千倍は強ぇんだよっ!」
と、長曾我部の兵も言い返した。
「うちのアニキは『西海の鬼』…いや『鬼神』だ!瀬戸内の荒波もしらねぇ田舎もんが、うちのアニキに勝てっかよ!」
と、長宗我部兵が言えば、
「はぁ?笑わせるぜぇ!奥州の北風に当たったこともねぇぬるぃ野郎がよぉ?うちの筆頭は『奥州の竜』!『独眼竜』よ!竜が鬼に負けるわけねぇーだろぉがッ!」
と、伊達の兵も言い返す。
「あんだとコ゛ラァ!?」
「やんのかチキショウ?!」
両軍の間に見えない火花が交錯した。
「アニキの舵捌きは日の本一よ!!アニキにかかりゃあ、どんな荒波も軽いもんだぜ!熱いだろ!!」
「はっ!うちの筆頭はなぁ、手放しで馬に乗るんだぜ?サイッコーにくーるだろうがッ!!手綱捌きは天下一よ!なんたって奥州最速なんだからな!」
「なにぃ?アニキは刀が使えねぇのかだとぉ…?バッカかてめぇ!うちのアニキにはなぁ碇槍があんだよ!碇槍がッ!あのデッカイ槍で、丘も海も総ナメよ!てめぇんとこの頭はどうなんだよ?独眼竜は槍は使えんのか?アァ?うちのアニキに比べて随分細いんじゃねぇかぁ?」
「アァン?!てめぇ筆頭の六爪食らってからほざきやがれ!『じゅうよくごうをせいす』って言葉を知らねーのかよ?!」
「知るかよバーカ!」
「てめぇんとこの頭はカラクリ兵器なんざもってねぇーだろ?!」
「なめんなよ!こっちにゃ、鬼も裸足で逃げ出す『竜の右目』がいるんだよ!」
と、互いの大将の優劣を競って壮絶(?)な舌戦を繰り広げた。
「「「アンタはどう思う?!前田のにぃさん!!」」」
突然、舌戦を繰り広げていた伊達・長曾我部の兵士達が慶次に訊いた。
「へ?」
それまで、白熱する両者の争いを黙って見ていた慶次は、突然意見を求められ間の抜けた声を上げてしまった。
「『へ?』じゃねぇよ『へ?』じゃ!」
「アンタが言い出したんだろ?」
「アニキと独眼竜、どっちが強いと思う?!」
と、口々に言いながら、丘と海の荒くれ達は慶次に詰め寄った。
慶次は、一拍置いてから言った。
「あ―…つーことなんだけど…どーするお二人さん?」
伊達、長曾我部の両兵士達は、驚いて後ろを振り返った。
そこには、『奥州筆頭』伊達政宗と、『西海の鬼』長曾我部元親が立っていた。
「「「筆頭?!」」」
「「「アニキ?!」」」
「Ah〜?俺達のどっちが強いって?」
と、政宗が言った。
「は!そりゃあ、この『西海の鬼』長曾我部元親に決まってんだろ」
と、元親は言った。
元親の言葉に、政宗は口端を不敵に吊り上げた。
「おいおい、そいつは俺を倒してからほざくんだな『西海の鬼』。この『独眼竜』伊達政宗をよぉ!」
政宗の言葉に、元親は豪快に笑った。
「なら、ここで決めるか?竜のにぃさんよぉ?」
売り言葉に買い言葉である。
「上等だ」
政宗は即座に返答した。
瞬間、二人の纏う空気が一変した。
ピリピリと空気を震わせる程の緊張感。
ゴクリと、誰かが喉を鳴らした。
その時、