大空のカケラ

□チョコレート日和
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2月14日は学校中が甘い香りに包まれる日だ。

女の子は手に可愛い包みを持ちそわそわ、男の子もどこか落ち着きなくソワソワ。

なんとなく、浮足立っている。
今年は笹川京子も例外ではなかった。


(やっぱり変かな…)
今年もツナの家でハルと一緒にビアンキにチョコレートを習う予定だ、それはとても楽しみだったが…

(これは御礼だから…)
未来での闘いの時や帰って来てからも何度か彼には助けてもらった。だからお礼が言いたかった。
ハルやビアンキと一緒にではなく、自分で作ったもので。
そう思ったら、作ってラッピングまでしていた訳だが…

(どうしよう…どうやって渡せばいいのかな…)
ただ彼に「いつもありがとう!」と言って渡せば良いだけだ。なのに…

(なんでかなドキドキする…)
京子がソワソワしていると花が声をかけてきた。
「どうかしたの京子?」
「花!」

「しっかし、いつもの事ながらあいつら凄いわねー」
「あいつら…?」
「?山本と獄寺よ。他のクラスどころか、他学年の女子まで来てるわよ、アレ。」

言われて見てみれば、山本と獄寺が沢山の女子に囲まれている。

(あれ?ふたりだって闘ってたのに私ツナ君の分しか用意してない!)

「それに比べて暇そうねー、沢田。」
「えっ。」
「は?悪かったなー。あの二人が特別なんだよっ!」
近くを通りかかったツナに花が声をかけた。

「あ、そだ。京子ちゃんビアンキが今日放課後待ってるって言ってたよ?」

「う、うん!ハルちゃんと一緒に行くね!」

「そか、楽しみだな。」
(でもビアンキのポイズンクッキングからどうやって逃げよう…)
嬉しそうに笑った後ちょっと遠い視線になるツナ。

(楽しみって私の?それともハルちゃんの…?)

そんな事を思いつつ、なんとなく口に出せない京子。

「ふーん。」
「なんだよ?」
「別に?それよりあんた日直でしょ、アレ運ばなくていいワケ?」

アレとは先程の授業でやったプリントだ、教卓の上に提出し、それを日直が職員室の先生に届ける事になっている。

「次の授業始まるわよ?」

「やべっ。黒川サンキュー!ちょっと俺行ってくるっ。」
言って、慌ててプリントを集め職員室へ走って行った。

「騒がしいヤツ…ねぇ京子、ソレ誰にあげるの?」

「えっ!」

狼狽する京子。
そんな親友の様子を見ながら、

「ほんと、あんたってたまに兄に似てるわねー。」
「えっ、どの辺りが?」
あまり似ていると言われた事がないので驚く京子。
「そうねー…」

自分の気持ちに気付かないままチョコレート用意しちゃうあたりとか。

なんで用意したいのか、とか考える前にしっかり作ってしまう辺りとか。

「理屈考えちゃう前に、反射神経で行動しちゃうあたりとか?」
「えー!?」
分からないと言う顔をする京子に、苦笑しつつ。

「まぁ、とりあえず頑張んなさい。」

この鈍感だけど、行動力のある親友にエールを送った。
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