大空のカケラ

□いちご味のルージュ
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気づいたら、目が離せなくなるから。




「うっわ、ツナすっげえ色!」

「へ?」

ある夏の昼下がり、
暴力的な陽射しにノックアウトされたツナ達は涼を求めて、みんなでかき氷を食べていた。

「口だよ、くち。
なんか、カエル食ったみたいな緑色だぜ?」

「えぇぇっ?」

メロン味のかき氷を食べていたツナの手が止まる。

「馬鹿か、てめぇはっ!
カエル食ったって口は緑色になんかならねーよ!!」

あれはどっちか、つーと鶏肉に近いらしいからな!

獄寺がいらないウンチクを垂れ始めた。

「止めて!想像したくないっ!」

ツナが悲鳴を上げる。

何故かリボーンに無理矢理口の中に、緑蛙を詰め込まれる想像をしてしまったツナは泣きそうになった。

「ワリワリっ!
なぁ、ツナ俺は?」

どこか楽しそうな山本が口を開きながら舌を出す。

「…ごめん山本…なんとなく黄色い気がしないでもないってくらいだね。」

山本が食べていたレモン味は色素が薄いらしい。
舌にほんのり淡く黄色がついている程度だった。

「ツナさんっ!ツナさんっ!
ハルはどうでしょう?」

口は開かず、舌だけ出したハルがツナの袖を引っ張った。

「げぇ、すっげぇ人工的な青だな。
そもそもブルーハワイって名前からして意味が分かんねぇ。」

鮮やかな青色にツナが驚いている間に、獄寺が身も蓋も無い感想をもらした。

「ハルはツナさんに聞いたんですぅー!
獄寺さんはブルーハワイを馬鹿にするんですか!?
美味しいんですよ!
それに獄寺さんの宇治抹茶だって十分、人工的な色してますーー!!」

ブルーハワイ味を食べていたハルが獄寺に猛反撃した。

「馬鹿か、抹茶は茶葉の自然な色だろ。」

獄寺が勝ち誇る。

「馬鹿って言う方がバカなんですー!!」

いつの間にか、小学生みたいな口喧嘩に発展していた。

山本がレフリーのように間に挟まれているが、なだめるでもなく、むしろ二人を煽っているように見える。

(なんか、ますます暑くなって来た気がする…)

暑苦しい二人にツナが呆れていると、イチゴ味のかき氷を食べていた京子が手を止めた。

「でも、ブルーハワイって美味しいけど、何味?って聞かれると困るね。」

「確かにねー、
なんでハワイ?」

どのあたりがハワイ?と二人で顔を見合わせた。

その時、気づく。

「あ、京子ちゃんも口赤いね。」

「え、本当?」

「うん、唇が…」

きょとん、とした京子がツナを仰ぎ見る。

イチゴ味の色素は濃いのか、舌どころか唇までほんのり赤く色付いていた。

まるで口紅を塗ったように。

上目遣いで、赤く染まった唇のまま、ツナを見つめる京子にツナは…

「ツナ君?」

「…ダメかも。」

「え、どうしたの?
あれ?ツナ君なんか顔が赤いよ?」

「うん。
とりあえず、お水とか飲んだら取れるかな?」

「え?そんなに酷い?」

「そうじゃなくって…」


赤い口紅をひいた彼女を見てると、なんだかドキドキしてくるので、

とりあえず、

他の誰かに気付かれる前に拭ってもらおうと

不思議そうな顔をした京子にツナはお冷やを手渡した。


−−−−−−−−−−−−−


≪完≫

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次は後書きです。
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