期間限定
□カボチャが食べたくなる日
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「ハッピー ハロウィーン!!」
白いうさぎの耳を付け、
赤いジャケットを羽織り、
大きな金色の時計をかかえたリボーンが叫んだ。
「…はっぴい はろうぃん……。」
死んだ魚のような目をしたツナがイヤそうにつぶやいた。
ゴンッ
ツナのやる気のない様子にイラッときたリボーンの飛び蹴りが決まる。
「ツナてめぇ、なんだそのやる気のない態度はっ!!」
家庭教師様の怒号が飛んだ。
ツナは頭を抱えながら、彼にしては珍しく、きっぱりとした非難の目でリボーンを睨みつけた。
「やる気なんか出るわけないだろーー!!」
「なんだ?俺のチョイスに文句でもあるのか?」
「あるに決まってるだろっ!!
百歩譲って仮装はいいよ!
こんな日だし、諦めるけど…なんでよりによって……“アリス”なんだよ?!」
ツナは
水色のワンピースに、
白いヒラヒラエプロンを付け、
白いタイツに黒のパンプスをはき、
蜂蜜色のロングのウィッグに黒いリボンをキリリと結んでいた。
非常に可愛いらしい。
「プッ。
大丈夫だぞツナ。
思った以上に似合ってるゾ☆」
「嬉しくないよ!!
しかも、お前今笑ったろ!
なんでアリス?!
なんで女装?!」
ツナは半泣きになりながら頭を抱えた。
「それはな、とある夢の国(千葉県浦安市)のハロウィンなイベントに行ってきた管理人が、そこで女性キャラに扮する紳士たちを見て触発されたからだゾ。」
「どーゆーふうに?」
「“プッ。何アレ面白い♪”」
「笑っちゃってんじゃん!すげぇ失礼だよ!!」
「マレフィセント(眠れる森の美女の悪役の魔女)に扮するお父さんを3人ほど見つけた時は“最近のお父さんって大変なんだな…”って思ったらしいゾ。
ちなみにアリス男子も結構見かけたらしいゾ☆」
「余計なお世話だよ?!
お父さんたちやその人たちは、好きでやってるのかも知れないだろ?」
「うるせぇな。
じゃあ、お前も喜んでヤレよ。」
「俺にそんな趣味はなーいっ!!」
ツナは力いっぱい叫んだ。
「だいたい男の俺がこんな格好したってキモ…「「「きゃーっ!!可愛いぃぃっ!!!」」」…い?は?」
ツナの不満の声は甲高い歓声に掻き消された。
ツナが声に振り返ると可愛いらしいお姫様のドレスに身を包んだ少女たちが大きな瞳をキラキラさせていた。
「ツナくん可愛いっ!」
「ツナさん可愛いらし過ぎですぅっ!」
「ボス可愛い…」
「京子ちゃんっ!
ハルっ!
クローム!」
今一番会いたくなかった少女たちの笑顔にツナは気が遠くなる気がした。
「ボスとっても似合ってる…」
肩が大きく開いたピンクのドレス(眠れる森の美女)を着たクロームが褒めた。
「クローム、気持ちは嬉しいけど、その台詞は嬉しくないよ…」
「ツナさん、ベリーキュートですぅ!」
黄色のふわんふわんしたドレス(美女と野獣)のハルは大喜びだった。
「ハル…ハルの方が“きゅーと”だよ。」
「ツナくん、素敵だよ!」
黄色いスカートに赤いマント、パフスリーブが可愛いらしいドレス(白雪姫)を着た京子がにこにこと微笑んだ。
「京子ちゃんまで…あ、ありがとう……。」
(京子ちゃんの方が100億倍可愛いよぉーー!!)
ツナは京子の可愛いプリンセス姿に喜びながらも、自分の愉快な姿に涙した。
「3人の方が俺なんかより可愛いよ。
3人とも良く似合ってる。」
ツナは心の底から思った事を口にした。
すると3人とも、ふわっと頬をバラ色に染めて嬉しそうに笑った。
「「「ありがとう。」」」
「…うん。」
可愛い格好で可愛らしく微笑む3人を見てツナは“アレ、ハロウィンって悪くないかも…”と思った。
その気持ちはすぐ打ち砕かれたが。
「ツナくん…
「ツナさん…
「ボス…
一緒に写真撮ろう♪」」」
「え゙。」
かくして、3人のプリンセスと1人のアリス(男子)による大撮影会が開催された。
せっかくだから☆といたる場所で行われた撮影会にツナは長時間つき合うハメになる。
その間、
獄寺には驚かれ、
(しかし、後で十代目の写真下さいと冷静に言われた。)
山本には笑われ、
(しかも「俺もアリスツナの写真欲しいのな♪」とか言われた。…変な単語を作らないで欲しい。)
了平には気付かれず、
(いつもと余りにも違う格好だったので。)
雲雀には見なかった事にされ、
(一番酷い。)
骸には一頻り笑われた後、文句を言われながら、何故かポーズの指導までされた。
(指示が細かくてツナはうんざりした。)
3人が満足する頃にはツナは灰のようになってしまったていた。
「ハロウィンなんか、だいっ嫌いだぁぁぁーーー!!!」
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