□椅子と狂愚とヘモロイド
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ボリスが俺の上でだらしない声をあげる。

奥へ奥へと誘うように収縮していたそこはもうぐちゃぐちゃになって、ただ卑猥な音を立てていた。


「あ、うぁ… 」


一瞬震えるようにのけ反ったボリスは僅かにドロリと白濁を吐き出した。もう何度目だろうか。そのままずるりと俺にのしかかる。


虚ろな目には疲労が映っていた。


しかし疲れとは関係なく
そこに
以前のような、鋭い光はない。


ソファーがギシッと音を立てた。


俺の上に乗ったままのボリスがひどく熱かった。びっしょりと汗をかいた肌が密着する。
ボリスの自身は果てると同時に硬度を失っていたが、中はうねるようにまだ俺をくわえこんでいた。俺のそれをぐぐ、と飲み込むように絞まる。中だけ違う生き物のようだ。



ボリスが少し痩せてしまった気がする。あばらこそ浮いていないが、尻の肉が落ちたのだろうか、体重をかけられると骨が太股に食い込んだ。


ずるりと重そうな体をソファーに寝かせ体勢を変える。脚を割り開き挿入するとずぶずぶと何の抵抗もなく納めることができた。もう無理だと抗議されるかと思ったが、ボリスは『ぅあ』と小さく声を漏らしただけだった。

無遠慮に雄を突き込むと、口の端から唾液を垂らしながらボリスは「んあぁ、あぁ」と俺に抱きつき腰を振った。



薬を使ったわけではない。


何か与えているのでなく、

ただ、奪っただけである。



美味い食事と快適な睡眠と
清潔な環境と自由な排泄と
仕事と時間と未来と希望を

全て 奪っただけ。



手足を縛りつけボリスをバスルームに閉じ込めた。

一差しの光も入らぬようにし
もちろん時計など与えず

今何時なのか
どれくらい時間が経ったのか
いつになったら帰ってくるのか
永遠に帰ってこないんじゃないか

狂うような、長い長い一日を

約一週間、繰り返させた。



痛む寸前の食事

無理な体勢で強いられる睡眠

初めて尿意を我慢できなかった時、ボリスは声を殺して泣いていた。

小さく
俺に『死ね』と言ったので
俺も『愛してる』と返事した。






「……ね、ボリス。あと一回イケたら、明日もしてあげる」



少しだけ、ボリスの目が見開かれた。

疲れきった目の中に一瞬恨めしそうな色が滲む。嬉しかった。常に虚ろになってしまったボリスの目に感情を見ると、すごく嬉しい。ボリスはだらりと放り出していた手を自らの自身に持っていった。


「あ、うぅ…」


擦るように手を上下させる。苦しそうだ。すでに何度もイって自身が痛いのだろう。
それでも。俺が腰に手をやりガクガクと一層激しく揺さぶると、ぎゅっと絞まりボリスの自身も角度を取り戻した。



全て、奪った。

俺だけを与えた。



生きている上で得られるはずの快感を全て取り上げた。
食事睡眠排泄、そして。

もう一つの快感だけを、
ボリスに与えた。


一週間が過ぎた頃、俺は力無くうなだれるボリスをバスルームからソファーへと寝かせた。お姫様抱っこなんて以前なら絶対にさせてくれなかったろう。

この時、ボリスはまだ『ボリス』を保っていた。

寝かされたボリスは憔悴しきっていたものの、何が起こるのかと不安げな顔で俺を見た。


キスをして服の中に手を入れた。びくっと緊張するのがわかった。

どれだけセックスしていなかったか?俺と違いボリスは自慰もできなくて辛かったろう。
…食事も満足に取れず、それどころではなかったかもしれないが。


自身に触れるとすぐに反応があった。


胸の突起に口をもっていこうとすると本気で抵抗された。

「風呂入ってねぇ から、」

久しぶりにボリスの声を聞いた気がした。風呂?知ってるさ俺が入れなかったんだから。わかっててヤろうとしてるんだ。
しょっぱくて恥ずかしいらしい。
だから何だ。強引に口に含む。

前戯が面倒だったのでローションをぶちまけた。

「…ソファー、が 」

気にしなくていい。だからベッドにしなかったんだよ

めちゃくちゃに犯した。ボリスもめちゃくちゃに乱れた。久々に抱かれる体はひどく敏感で、突き入れる度にびくびくと反応した。
ボリスが登りつめていくのを感じて俺も猛った。
キスしてほしいと目が語っていた。泣きそうですらあった。舌を絡ませ強く抱き締めボリスは達した。そのまま突き続けてしばらくして俺も中に出した。

引き抜くとこぽっと淫猥な音を立ててボリスのそこから俺の精液が溢れた。この世で最もいやらしい光景だと思った。

疲労をのぞかせながらも満たされた顔をしているボリスにキスをし

そして。

何度も。何度も何度も何度も何度も
ボリスを犯した。

嫌がっても犯した。俺もきつかったが何度でも愛せると思った。

ボリスが気を失ったのを確認して

また、バスルームへと繋いだ。




快楽が一切ない中
数日ごとに
そんなことを繰り返した。




もう一ヶ月になる。

ボリスはもう、少しおかしい。



体というのは不思議なものである。何度も何度もそこを性器として犯されればきちんと自己防衛反応がある。
女のように、とまではいかないが、挿れればぬるぬると粘液が増し壁を保護しようとする。



「あっ あっ あっ」



ボリスの体が変わっていく。唯一与えられる快感を貪欲に貪る体になっていく。

ボリスがボリスであることを

犠牲にして。



「ぁあ、あ、ぐ ぅ」



ボリスが苦痛に顔を歪める。
いくら体が変わっても入り口は痛みを訴える。

それでもボリスは腰を振ることを止めない。




「あぁっ、こぷ、う ぁあっ」




おかしいな



美味い食事と快適な睡眠と
清潔な環境と自由な排泄と
仕事と時間と未来と希望と

笑顔と愛を


君に与えたいと思う俺も、
いたはずなのに



でも



「こんな涎だらだらのボリス、前までだったら絶対見られなかったよね」




どんな君も、愛してる






Fin.



= = = = = = = = = = = = = = =



……ひゃあ(汗)


以前、『絵A』にボリスがコプチェフをバスルームに監禁する話を描いたので

それの立場逆転を描こうとして

ボリたんにひどいことをするのは可哀想で(←コプチェフならいいと言うのか)

文章にしよう!ましになるはず!

と書いた結果


コプチェフより可哀想な事態になってしまいました/(;;)\アレェ?


2011.4/6
 

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