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□君の優しさ無限大
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『あーー…終わった〜!!』

持っていたペンを置きぐぐっと伸びをすると、背中辺りからバキッという音が響き、思わず固まる。

……大丈夫か、私。

はぁ……と溜息を漏らして腕を下ろし、壁にかかった時計を見ると、既に午前4時をまわっていた。
窓の外は、少しずつ明るくなってきている。

「うわぁ、また徹夜しちゃったよー……」

これで何日目?と頭を働かせてみるも、眠気に支配された頭では何も考えられない。

とりあえずこの睡魔をどうにかしよう。

そう思い、もう大分前に空になったお気に入りのマグを持ってキッチンに向か――………


「!?」


おうとしたら、グラリ、と体が傾いた。足が縺れて体制が立て直せない。
こける――…!そう思ってぎゅっと目をつむった瞬間、
ガシャン、と何かが落ちる音と同時に、誰かの腕にしっかりと受け止められた。


「茜!?大丈夫!?」


目を開けると、心配そうに覗き込むトーリスの顔。

「え…?トーリス?何して……仕事は?」

今日は確か、いつも通り仕事だったはずだ。それなのに、なぜトーリスがここに?

「明日急に仕事がなくなって、休みになったから急いで帰ってきたんだよ。
そしたら茜、珍しく起きて一生懸命何かしてたから……お腹すいてるかな、と思っておにぎり持ってきたら、茜倒れちゃうし。
まったく……徹夜なんて慣れないことするから……」

心配そうに話すトーリスの足元を見ると、先程のガシャン、という音の原因が見えた。床に散らばったガラスの破片と、形が崩れてしまったオニギリが二つ。
わざわざ作ってくれたんだなぁ、と思うと申し訳なくなる。

「あの、トーリス……ごめん、ね?」

小さく呟くと、そんな事気にしなくていいから、と微笑んで、私を抱き上げてベットに運んでくれた。

ふわりと布団を掛けられて、直ぐに意識が薄れ始める。

瞼を閉じると、額に柔らかい感触。


「………無理だけは、しないでよ?」



君の優しさ無限大




(どうあっても私は、
世話を焼かれる係なのか…)


Clap Clap

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