Dazzlement Heaven

□始まりの歌
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プロローグ






人間なんて所詮、単純な生き物だ。
弱ければ服従し、力を持てばそれを使う。
争って、傷付けて、支配して、憎み合う。
誰もが恐れる死を、誰よりも恐れる。
そこに救いがあるなら、真っ先に手を伸ばして掴もうとする。
・・・単純だ。

誰だったか、昔の偉い人が言っていた。
「私たちは何も知らない。だからこそ許されるのだ。」と。
満足気に謳ったであろうその言葉も、今の世の中じゃ何の意味も持たない。
誤った己を許してくれる存在を、誰もが皆忘れているのだから。


そんなことを考えている自分は、どうやら変わっているらしい。
別に変だと言われることは苦ではない。
むしろ誰も疑問に思わない方がおかしな話だ。

何をしていても無反応だったのが、さらに拍車をかけた。
与えられた武器を使いこなす事は、そう難しいことではなかった。
生温い血を浴びることも、人間を斬り捨てることも、それが命令ならば構わなかった。
面倒事を極力避けて、必要以上に関わらない。

そんな姿を見て、ある人は「天才」と言った。
ある人は顔を背けて、「気持ち悪い」と言った。
ある人は「それでいい」と静かに笑った。

そう、単純なのだ。
誰かに許されるのならばそれでいいと思えるのは、例にも漏れないその証。
救いがあるなら、それでいいんだ。


ならば、誰に救われよう?
何に許しを請えばいい?


そう、誰も救ってはくれない。
誰もが皆、その存在を忘れてしまっているのだから。




―――ある日見上げた星空には、月が怪しく輝いていた。
たとえばその月の光が導く先に、求める未来があるならば
あなたならどうされる・・・?

神様。





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