SS

□麻薬
1ページ/2ページ

−何度身体を繋げてもこの心が繋がることはない−
そう俺たちは遊びの関係。感情なんかいらない、求め合うのは快楽だけ…


今日も忍足のマンションでキングサイズのベッドの中にいる、初めては強姦だった。
部室で彼に犯された、今俺を腕に抱いて眠っているこの男、忍足侑士に。
強姦など既に何度か経験はある。
初めて男に抱かれたのは中学一年の時、先輩たちに輪姦された。手足を縛られてビデオに撮られどんなに泣き叫んでも許させる事はなくその後もそれをネタに何度も足を開かされた。
忍足に初めて抱かれた時、俺は抵抗一つしなかった、何をしても無駄だとわかっているこの身体はただ快楽だけを求めて動きだす、そんな身体に変えられていたのだ。

“お前も俺を性の対象としてしか見ていないのか…なら抱けよ…俺は構わない”

一言そう放ち足を開く、忍足は最初漆黒の瞳を見開いたがそれも一瞬、すぐに口元に妖しい笑みを浮かべ首筋へと顔を埋めた、

「誰にでもそうやって足開くん?」
「そうだな。」
「セフレは何人いるん?」
「わからねぇ」
「さよか、それじゃあ俺もその中の一人にしてや」
「いいぜ、お前は中々具合が良さそうだ。」
「そりゃどーも。」

彼は本当に上手かった、今までに抱かれたどんな男よりも、そして彼は何度も俺に“綺麗”だと囁いた、こんな誰にでも足を開く汚れた身体に…
跡部は本当に綺麗だ、普段もセックスの時も。
俺は彼に何度も“綺麗”だと囁いた、言わずにはいられない、美しい肢体もその声も快楽に顔を歪め鳴く姿もすべて。

初めは面白半分、噂ですぐ犯らせてくれると聞いて試しに部室で押し倒してみた、彼は抵抗一つせずに足を開き誘う、誘われるままに抱けばこの麻薬のような身体に溺れるしかなかった。


−彼は麻薬、男を惑わせ快楽の海へと突き堕とす淫魔のよう−


跡部を抱いた後も何人もの女とセックスをしたが彼の身体が忘れられず何時しか他の身体を抱くのもバカらしくなった。
俺は彼に依存した、彼も俺が誘えば何も言わずに足を開いた。
そんな関係が半年以上つづいた、どちらも互いの身体に依存しどちらも互いの身体以外抱かなくなっていった、そして心も…


*
*
*
*
*
*


「景吾…綺麗や…」
「……それしか言わねぇんだな。」
「他になんて言ってほしいん?」
「別に…」

最近忍足に抱かれる事が苦痛だ、何故だかわからない。でも苦しいただ苦しくて…
想いとは裏腹に身体は快楽に溺れもう抜け出す事はできない、



−もし捨てられたら−



   −イキテイケナイ−


頭の中で早鐘が鳴り響く

  “忍足が好き?”

好きじゃない…好きになっては…………イケナイ

彼は俺の身体が欲しいだけ、今までの男たちと同じように。
身体を奪われた今、心まで奪われてしまったら…

俺はこの関係のままで充分だ、抱いてもらえるだけで…………ホントウに……?

−心が欲しいなんて我儘は言わないよ、だからずっと傍にいて−
今日もまた忍足のマンションに来ていた、今更断る理由など俺には見いだせない

「おいで景吾…」

俺を呼ぶ忍足の声、その声に誘われるままにベッドに座っている忍足へと歩み寄り彼の首へと抱きつく。
普通の恋人同士ならここでキスをするのだろうな…と夢見がちに考えつつ彼が首筋へと顔を埋めるのを抱き締めシャツのボタンを外され見えるか見えないかの辺りへ吸い付きキスマークを付ける、

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ