GIRL

□合縁奇縁
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「忍足君、跡部さんと付き合ってるの?」
「……いや、付き合ってへんよ。」
「本当に?そっかじゃあ今彼女いないのよね?」
「まぁそやけど、でも俺は彼女の事……好きやから」

その言葉と同時くらいに教室のドアが開いた、そこには跡部が立っていた。
跡部は忍足と女が二人でいる光景を見た、しかも忍足の“好き”という発言も聞いてしまった、この二人は恋人同士になってしまった、そう思った途端に走りだしていた。
後ろから忍足の“景ちゃん!”と叫ぶ声が聞こえ足音が近づく、走りながら瞳に涙が込み上げるのがわかった、必死で走るものの男にかなうわけもなく腕を掴まれる、

「景ちゃんちょい待ちいや!」
「やっ!はなせ!!」

跡部は振りほどこうと暴れた、

「落ち着きって!」
「やっやッ!はなせよ!お前なんか嫌いだ!!」

“嫌い”と言われた途端に忍足の手が離れる、跡部はその後振り返りもせずに走り去った。

やはり自分は忍足の事が好きだったのだと思い知らされる、忍足はさっきの女が好きだったのかと思うと胸が痛かった。
“跡部を泣かせてしまった…”

やはり俺のことが好きだったのか…?それとも他に理由が…?わからない、でも泣かせてしまったのは事実。ケジメを付けようと思った、ちゃんと跡部に想いを告げようと。

次の日学校へ行くと彼女は俺を避けていた、目が合わないように俯いたまま席に座り込んでいる。
部活の後にちゃんと話そうと思ったのだが彼女は部活に来ていなかった。
いつものベンチで休んでいるとチームメイトの男たちの話が聞こえた、

「跡部さんまた二組の男に呼び出されてたぜ?」
「マジかよ?でもあの男もしつこいよな、そろそろ無理矢理にでもモノにしそうで恐いよ。」
「今の話ホンマか!?」
「えっ!?あ、うん。」
「どこにいるん!?」
「確か体育倉庫の裏だったぜってオイ!忍足!!」

忍足は最後まで聞かない内に走り出していた。


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