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□我が意を得たり、とキミは笑った
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「起きてください」
身体を揺すられ朦朧とする頭に響いてきたのは、聞き覚えのある声だった。
【我が意を得たり、とキミは笑った】
「目を開けてください、兄さん」
「…ろ、ろ?」
「はい」
閉じていた瞳を開こうとすると眩しい光に瞼を焼かれ、自分を揺り動かす人物を確認することが出来なかった。
けれど、その声は確実に彼に間違いは無かった。
「兄さん、もう此方に来てしまったのですね…」
「こちら?」
やっと開かれた瞳に、自分を庇い命を落とした偽りの弟の姿を映す。
彼の顔を見るのは久しぶりで、懐かしさを感じつつも安堵感を覚えた。
偽りの弟として憎んでいた彼を、受け入れたときには彼を失っていた。
「ロロ、お前生きて…」
「違います」
「しかし、今此処に…」
「それは兄さんも…」
言葉を濁した彼の、先ほどの言葉を思い出した。
“もう此方に来てしまったのですね”
「そうか、俺も…死んだのか」
「そうみたい…ですね…」
己の置かれている状況を理解したルルーシュは、頭を抱えられた状態でロロを見上げる。
彼の純粋な気持ちを弄び、命を奪ってしまったのは紛れもない自分で、救われた命も再び失ってしまった。
「ロロ、すまなかった…お前が救ってくれた命を…」
「兄さんは自分の意思を貫いた。僕は兄さんの作る新しい世界への手助けが出来たのならそれだけで充分です…それに、」
「それに…?」
「今こうして、再び兄さんに逢うことが出来た。兄さんのいない新しい世界には僕は興味が無いのです」
「ロロ…、まだ俺のことを…」
「僕はずっと、兄さんの弟です」
ロロはあの時、息をひき取る時に見せた優しい笑みを兄へと向けた。
今でもまだ、酷い仕打ちをした自分を兄として慕ってくれると云うのだろうか…
「ああ、お前は俺の弟だ…愛している」
ずっと云いたかった、彼に。
いつだって気付いたときには失っていた温もり。
ロロは兄の言葉に頬を染めて照れたように笑った、それは天使のようだと思った。
そして、確信する。
――嗚呼、俺は死んだのだ。
end
20081001
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最終回記念。
ギアスの創作は最後になるかもです、お疲れさまでした。