geass+seed

□オンナノコ
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アスラン・ザラは驚愕した。
久々に彼氏のウチにお泊りだというのにまさか今日に限って女の子にしかないアレがきてしまうとは、しかも初めての……。
まさかこんな間の悪い日に、初めての事でどうしていいかもわからないし、恥ずかしくて言いだせるはずもない。何か理由をつけて家に帰るしか方法はないのだが時間は既に九時を回っていた。九時以降に外を一人歩きなどした事なんてないし今から帰るなら一人で電車に乗らなければならない。電車など数えるほどしか乗ったことないしその全部はキラと一緒だったため切符の買い方さえわからない。
混乱したまま台所で夕食の後片付けをしていたキラの所に行き俯いたまま声を発する

「…キラ……俺…帰りたい…」
「………どうしたの?いきなり。」
「なんでもない……ただ帰りたいだけだ…」

そう言って自分の荷物を持ち玄関に向かおうとするアスランをキラは焦って止めようと腕を掴む、

「ちょっとアスラン!こんな時間に一人で帰せるわけないでしょ!」
「いい!帰る!」
「待ってよ!僕が何か気に障るような事したの?」
「ちがう…キラのせいじゃない、でも帰らないと駄目なんだ…」

俯いたままそう言って掴まれた腕を振りほどこうとする、

「なんでさ…、理由聞かないで納得できるわけないじゃない…」
「………それは、言えない…」
「なら僕も帰すわけにいかないよ。」
「………だって……恥ずかしい……」

アスランは俯いたままそう言うと彼女の腕を掴んでいるキラの手の甲に水滴が落ちる、アスランは泣きだしてしまった。

「ちょ、アスラン?」
「やだぁ…もう早く帰りたい…」
「なら理由だけでも聞かせてよ?笑ったりしないし恥ずかしくないから、ね?」

キラは困りがちにそう言ってアスランを引き寄せ頭を撫でてあげる、アスランは彼の胸の中で落ち着きを取り戻し意を決して口を開いた、

「えと、あの……きちゃったの……アレが…」
「?」

キラはフル回転で女の子の“アレ”とゆうのに頭を巡らす、と答えはすぐに出た。

「本当に?生理がきたの?」
「ばかキラ!」

アスランは直接的な言葉に顔を真っ赤にさせ怒鳴る。

「そっか、でもやっぱり帰すわけにはいかないよ。もう心配いらないからね、アスランは先にお風呂入ってて。」
「え、でも……」
「いいからいいから、何も心配いらないから。」

彼に言われるまま風呂に入ってしまったアスランは身体を洗いながらこの後どうしたらいいのか不安だった、しかし彼の“何も心配いらない”という言葉でさっきより大分楽になった。
キラはいつも自分を一番に考えてくれて頼りになるし本当に大好きだ、意地悪な時もあるけど最後はやっぱり優しい。
せっかくのお泊りなのにアレのせいでエッチができないのは残念だけど、やっと自分も大人になれたんだと嬉しさもあった。
アスランは十六にもなって生理がこなくて悩んでいた、周りの子はみんななっているのに自分だけ取り残された感が拭えなかった。
しかしその悩みも晴れてなくなった。一歩大人に近づいたと思うとやはり嬉しいしこれで子供も作れる、もちろんキラとの子供だ。
いつになるかはわからないけれどキラと自分の子供を生む事ができる。そう考えるだけで自然に頬が綻ぶ。



******



キラは彼女を風呂に促し自分は財布を片手にすぐ下のコンビニに足を運んだ。

アスランが急に帰りたいと言い出した時は焦ったけれど、大した事ではなくて本当によかった。いやアスランにとっては大した事なのだが…。
確かに今まで一年以上付き合ってきてアレを理由にエッチを断られた事はなかった。
女の子なら一月に一回アレによってエッチを拒むのが普通なのにと初めのうちは不信に思わない事もなかったのだが最近では完全に忘れているような状態だった。
しかし今日の事で安心したのも事実だ。これでアスランとの子供を作れると思うと喜ばずにはいられない、もちろん今すぐにとはいかないが何年かして自分が自立して立派な仕事に就いた暁にはアスランと結婚して子供を作り幸せな家庭を築きたいと思っていた。
それにさっきのアスランと言ったら可愛いの一言に尽きる。頬を赤く染め涙混じりに告げてきた。可愛いとしか言いようがない。

にやけ混じりにコンビニでナプキンと生理用のショーツを買って帰るキラ・ヤマトだった。

アスランが風呂から上がると脱衣所の籠の中に着替えと新しい下着とナプキンが置いてあった。
アスランは急に恥ずかしくなる、男がこんな物を買いに行くなんて恥ずかしいに決まっているのに自分のためにそこまでしてくれるキラ。
それらを身につけて脱衣所から出ると彼はソファでくつろいでいた顔を上げ笑顔で手招きしている。
彼の膝の上へ促されそこにちょこんと座り口を開く、

「……あの…キラ…色々ありがとな……」
「どういたしまして」

笑顔で返してくれるキラにアスランも安心したのか微笑みを見せ始める、

「……キラ、俺…キラとの子供が欲しい…」
「‥‥‥」

彼は黙ったままアスランの話を聞いた、

「今すぐとかじゃなくて何年かして俺もキラも立派に生活できるようになったら俺と……」

アスランがその先を言おうとしてキラは彼女の口元へ人差し指を添え黙らせる、そして

「僕と結婚してくれる?」

優しくそう問い掛けてきた、アスランは一瞬瞳を見開きそして

「はい…」

彼女の頬に一筋の涙が伝う、そんな濡れた頬を優しく包み込み唇を重ねた。



fin

05.4.2

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