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□叱ってdoll
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「何をなさっているのですか…」
「見れば分かるだろう、勉強だ、勉強!」
放課後、図書室に呼び出され行ってみると、椅子を対面させて作業をしていると思われる人物が二人、目に入る。
どちらも顔見知りのティエリアは面倒臭そうに溜め息を吐いた。
叱ってdoll
「刹那、こんなところで何をしている」
「俺が聞きたい…」
部屋に入り、図書室の机に座っている幼馴染みの刹那へと事情を聞いてみるティエリア、けれど返って来たのはそんなものであった。
「先生、何をしているのですか?」
刹那の前に座り先ほど、「勉強だ!」と宣った男にも事情を聞いてみる。
「だから、勉強してるの」
また先ほどと同じ返答に困惑の表情を浮かべるティエリアを見て、やっと事情を話始めるロックオン。
「スメラギ先生に刹那の成績のことで相談を受けたんだ。こいつ数学だけが異様に成績が悪くてな、スメラギ先生も困ってるって言うから…」
「つまり、安請け合いをして刹那の数学を見てやると言ったものの、英語教師の貴方では手に負えずに私に面倒を見させるつもりで呼んだという事ですね?」
「大変よく出来ました」
「失礼します」
くるりと踵を返して去っていこうとするティエリアの学生鞄の肩掛けを掴み、それ以上先へ進めないようにするロックオン。
「頼む、ティエリア!!」
「謹んで辞退します、何故私が貴方の安請け合いに付き合わされなければならないのですか」
「刹那を見捨てないでやってくれ!」
「それは…」
先ほどから黙っていた刹那は、何をするでもなくボーッとしている。
これは退屈しているときの彼の行動である。
「そんなに悪いんですか…?」
刹那のこと、と言われるとティエリアは全てを蔑ろには出来ない。
ロックオンへと向き直り、彼の成績事情について聞いてみた。
「この間の定期試験、数学のテスト三十二点だそうだ」
「三十二点!?」
聞いたこともないような点数に、目眩を起こしそうになるティエリア。
「刹那、そんなに数学苦手だったか…?」
中学時代からの知り合いでもあるティエリアは彼がそんなに成績が悪かったイメージも無かったので、困惑気味に聞いてみる。
「いや、そんなことはない」
「なら、何故…」
「前日に連ザをやり過ぎて…テスト中に…」
「寝てしまった、と?」
「ああ、すまない」
真顔で淡々と答える刹那に、ティエリアは青筋を浮かべる。
実は、中学時代彼の家庭教師代わりをしていたのはティエリアであった。
刹那の母親のマリナに頼まれ引き受けたことであったが、完璧主義のティエリアは自分が教えていながら悪い点など採らせるわけにはいかないとプライドを持っていた。
「あれほどテスト前はゲームを控えろと言っただろ!」
「すまない、ちょっとのつもりだったんだ」
「言い訳は聞きたくない!!」
子供を叱る母親と、叱られて項垂れる子供のような関係を見せ付ける刹那とティエリア。
「おーい…」
「貴方は黙っていてください!!」
ロックオンは蚊帳の外状態だったのを打破する為に話し掛けてみたけれど、一喝されて終わる。
「大体君はゲームだのプラモだのモンハンだの、」
「だから、すまないと…それからモンハンもゲームだ」
「知ったことか!!」
くどくどと止まらない説教に、黙ってしまった刹那。
どうにも頭が上がらないらしい、見かねたロックオンは再び口を挟んだ。
「わかったもういい大丈夫だ、な、刹那!」
「あ、ああ…」
「こいつも反省しているから、な、ティエリア」
「貴方は何もわかっていない、こいつは…」
まだまだ止まりそうにない説教に、二人は大きな溜め息を吐いた。
(ティエリアを怒らせたらダメなんだ…)
(ああ、よくわかったぜ…)
end
20080913
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途中で脱線、こうなる予定じゃなかったからまたリベンジしたい…
本当はロックオンvs刹那になるはずだったんだぜ(遠い目)