G00
□おしえてヴェーダー後日ー
1ページ/1ページ
「風邪は治ったか?」
「…………」
気さくにそう聞いてくるロックオンの横を素通りしたのはティエリア・アーデだ。
「おい、聞こえてるか?」
故意に無視されても別段機嫌を悪くした風もないロックオンは振り返りもう一度問う。
けれど此方を向きもしない菫色のオカッパ頭。
「折角俺が口移しで薬飲ませ…」
そこまで言ってカチャリと銃口が此方に向けられるのを確認する、幸い人に聞かれた様子はなかったけれど。
相変らずいつでも引き金を引く準備は出来ているようだ。
「死にたいのですか?」
「死にたくないです」
ティエリアの質問に丁寧に答えてやるけれど、ヘラヘラとした態度が気に入らないらしい彼の眉は釣りあがったままだった。
「もう良くなったんだな」
「ええ、お蔭様で」
「やっぱり俺のキ…」
引き金を引く指に力が籠められるのを見ながらその続きを口に出すのを止める。
「人に伝染すと早く治るっていうけど、もし本当なら次は確実に俺だな」
自信満々のロックオンに、あの時のことを思い出し顔が熱くなった。
「俺が風邪ひいたらお前が看病してくれるだろ?」
「謹んで辞退します」
「おい、なんでだよ!」
「僕は貴方みたくお節介ではないですから、しかも余計な」
「余計は余計だろ」
「そうですか?僕には余計でしたけど」
フンッと鼻を鳴らし、ツンとするティエリア。
彼とこんなに言葉を交わしたことなど無かったけれど、ツンケンした態度でも可愛いと思えてしまうのは性分だろうか。
「かわいくねぇの」
“かわいい”などと言ったら彼はまた不機嫌になってしまうだろう。
内に秘めた本音とは逆の言葉を口にする。
それでもやはり不機嫌なのは変わらなかったけれど、俺がティエリアの頭を撫でる手を振り払わなかったのは大きな進歩だと確信する。
“本当、ネコみたいなやつ”
黙って俯いている彼の手触りのいい髪を撫でながら苦笑した。
END
20080426
++++++
アーデにゃんこは頭を撫でられるのが好きなのです。