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□おしえてヴェーダー4ー
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背後から耳へと息を吹きかけられる、


「ひっ…!」


ビクッと背筋を凍らせたかと思うと持っていたカップの水を手から滑り落としていた。


「うお!」


傍らで上がる人物の声を聞いて、裏拳を喰らわせる準備はできていた。


「おい、ティエリアこれ…」


振り返り彼の姿を伺うと、見事に零した水で下半身が濡れている。


「自業自得です」

「お前の耳が敏感なのが悪いんだろう」

「な、僕は…」

「なに?耳以外も敏感だって?」

「言ってません!早く着替えたらどうですか?」

「お前、人の服濡らしておいてそれはないんじゃねぇの?」

「元はと言えば貴方が原因でしょう」


キッと睨みつけてくる瞳に見つめられ、からかい甲斐のあるやつだと改めて思う。


「じゃあそこのタオル取ってくれ」


ロックオンに命じられ、ティエリアは渋々とタオルを持ってくる、どこか申し訳ないという気持ちもあるらしい。


「どうぞ」

「はぁ?お前は拭くんだよ」

「何故僕が!」

「お前が零したんだからお前が拭くに決まってるだろ、それともなにか?自分のミスを俺に片付けさせる気か?」

「くッ…!」


ティエリアは悔しそうな表情を見せたけれど、そんなことを言われてやらないわけにはいかない。
持っていたタオルをロックオンの下半身へと持っていき、染みのある箇所の水気をタオルでポンポンと吸い取った。
立った状態ではやりにくかったので、彼の前に膝を付いて作業を始めたティエリアを上から見下ろすロックオン。


(ああ、なんかいい気分だな…あのティエリアが俺に跪いてる…)


「ティエリア、もっとこっちも」


そういって促してきたのは、男の砲身の真上、顔を赤くして躊躇うティエリアが此方を見上げてくる、


「しかし、此処は…」

「なんだよ、濡れてるだろ?」

「でも…」


バツが悪そうに俯く彼の耳が真っ赤に染まっている。
それでも、与えられた任務は確実にこなすことでは定評のあるティエリア・アーデは遠慮がちにも其処を拭き始めた。

そんなティエリアとロックオンの元へ、シュンッと扉の音がしたかと思うとお決まりの人物がやってくる。


「…ッ!す、すみません!!」


アレルヤ・ハプティズムだった。
彼が何の気なしに食堂へやってくると、ロックオンが後ろ向きに立っていて、その前にティエリアが跪いた状態で何かしている。
彼の頬がこの間此処で見てしまったキス現場のときより赤く染まっているではないか、やはりすぐにそれは伏せられてしまったけれど。


「お、い…アレルヤ、勘違い…」

「ぼ、僕、部屋に戻ります!!!」


アレルヤは顔を赤くしてダッシュで食堂を後にした。


「アイツまた…」

「もういいでしょう」


アレルヤに見られたことなどまったく気にした様子のないティエリアは立ち上がり赤い顔を隠すように使っていたタオルを濯ぎにいく。


「なあ、お前アレルヤのことどう思ってんの?」

「アレルヤ・ハプティズム…キュリオスのパイロットですが」

「そういうことじゃ…、じゃあ刹那は?」

「…エクシアのパイロッ」

「もういい、じゃあ俺は?」

「…お節介なデュナメスの」

「お節介ね…、俺はお前のこと、ヴァーチェのパイロットだとは思ってないよ」

「それは僕がガンダムマイスターに相応しくないという意味ですか?」

「違う、あとは自分で考えろ」


ロックオンが何故か少し不機嫌になったような気がしたけれど、理由がわからなかった。
彼の出て行った扉を見つめ、胸が少し痛んだような気がした。





END

20080429


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