□【貴方の名を】(照翔)
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「り、り、り……あーやっぱ言えねぇ」


そう言ってグシャグシャと頭を掻く翔太郎。


「もう翔太郎君さっきからそれの繰り返しだよ」


「言うだけも出来ないなんて情けないよ、翔太郎」


「う、うるせーよ」


翔太郎の様子を見ていた亜樹子とフィリップが口々に言う。

翔太郎は二人の言葉を払いのける。

けれども二人は口を閉ざす気配がない。


「これだからハーフボイルドは」


「ねー」


「誰がハーフだっ!」


「翔太郎以外誰がいるんだい」


「フィリップ、てめぇ」


翔太郎をからかい、二人はハーフボイルドと連呼する。

もともと気が長い方ではない翔太郎は苛々し始め、


「あーうるせぇ!言えばいいんだろ!!」


啖呵を切る。


「始めっからそうすればよかったのよ」


フフと笑いながら亜樹子は言う。

その言葉を無視して、翔太郎は深呼吸をして一呼吸を置く。

そして、言い放とうとしたと同時にドアが開く。


「ひだ…「竜!」!?」


外から入って来た照井の言葉を遮って翔太郎は勢いよく叫ぶ。

唐突のことに言葉を失う照井。


「あ、」


翔太郎も照井が入って来たことに気付く。


「えっと、その…」


すると、酷く慌てた様子で照井を見る。


「フィリップ君、出掛けない?」


「ああ、いいとも」


「おい、」


その様子に面白そうにしながら翔太郎の止めるのを無視して亜樹子とフィリップは外に出て行った。

必然的にその場に残っているのは翔太郎と照井のみ。
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