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□【単純明快】(照翔)
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「くそっ」
苛立った様子で頭を掻く翔太郎。
「何だい、翔太郎。やけに苛ついているようだね?」
そんな翔太郎に気付いたフィリップが本から視線を翔太郎に映す。
「もしかして、竜君が最近忙しくて来てないからだったりして」
隣に座っていた亜樹子がにやにやと考え付いた様子で口を開く。
すると、
「ち、違ぇ!別に俺はアイツのことなんか…」
ぶつぶつと言葉を放ち、大袈裟な程亜樹子の言葉に反応する。
それを見たフィリップと亜樹子は顔を見合わせる。
「どうやら図星のようだね」
「そうみたいね」
解りやすい翔太郎の姿に二人は笑う。
そこへ、
「フィリップは居るか?検索をしてほしいんだが」
話題の張本人−照井が現れた。
「噂をすれば、だね。翔太郎君、竜君来たよ」
「見たら解るっ!」
うきうきしながら亜樹子は翔太郎に言う。
それに翔太郎は噛みつく様に返す。
「何だ…?」
「何でもねぇよ!フィリップ、検索してやれよ」
亜樹子と翔太郎の様子に不思議がった照井だが、翔太郎により、話を切られる。
頼まれたフィリップは本を閉じ、翔太郎を見る。
「やれやれ、君の為に一肌…「ごちゃごちゃ言ってねぇでやれ」…全く詰まんないな」
フーッと軽く息を吐いて、フィリップは照井と共にガレージの方へ行った。
その間、亜樹子に冷やかされる翔太郎だが、それを無視し作業をしていた。
暫くして、調べ終えた照井とフィリップが戻って来る。