おお振り
□助言者(アドバイザー)
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「花井のバーカ!ついでに、水谷のバカ野郎ー!」
大声で叫びながら、どこへ向かうともなく、走っている田島。
人気のない所を走っているため、不審に思う者はいない、はずなのだが…
「お、田島じゃん」
何故だか、浜田が居た。
お前、ここで何してんだよ!とツッコみたくもなる。
「浜田…」
「ん?何かあったのか?」
浜田が再度尋ねた。
すると、田島はポツポツとだが、話し出した。
今日の朝くらいから、花井の機嫌が悪かった事。
自分には、特に心当たりが無いという事。
田島が全て話し終えてから、漸く浜田が口を開いた。
「…俺は、花井に直接聞いてみるのが1番だと思うけど。何か花井の気に障るような事した?って」
「…それで花井が、俺が何か悪い事したから怒ってるって言ったらどうすんだよ」
鋭く目を光らせて、浜田を睨み付ける。
声のトーンも、心無しかいつもより低く聞こえる。
「そん時は…とにかく謝って、許してもらえたら、それで終わりだろ」
当然の事のように、さらっと言う浜田。
「…俺が謝ったって、許してくれそうにねーけど」
「さっきまで、俺は何も心当たりないって言ってなかったっけ?」
おかしいなぁと、大袈裟なほど不思議そうな顔をして、浜田は言った。
少しばかり、演技が下手なようにも思える。
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