dream
□愛レター
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夏祭り
花火が空高く打ち上げられている
色とりどりの花はきれいに咲き誇り散っていく
赤い風車、涼しげな音色をたてる風鈴、鮮やかな浴衣を着た人々
なにもかもが完璧だった
私たちはついにキスをする絶好の機会を手にした
一際大きな花火が打ち上げられた
「キス…してくれる?」
朝顔の浴衣を着たジュリアは頬を染め静かに目をつむった
しかしいくら待っても唇に感触が伝わってこない
「どうしたの?」
目を開けてみると神童は困ったような表情を浮かべていた
「ごめん…」
小さく漏れる謝罪の言葉にジュリアは悲しくなった
「私のこと嫌い?」
「違う!そうじゃないんだ…」
「なら何で…」
黙り込む神童
必死で言葉を探す
「いいよ…」
優しく切り出すジュリア
「私、待ってるから…ずっと、待ってるから」
そして儚げに笑う
神童はその笑顔に何度胸を痛めただろう