復活SS

□color rosso sangue
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僕には、居場所がなかった。
ずっと居た孤児院にも、寧ろ、この世界にすら。

彼等は等しく愚かで、分かりやすい。

多種多様、様々な見た目思考などの違いはあるものの
根本は変わらない。

けれど、僕は違った。
まるで違う生命体のように
彼等が別の生き物に見えた。

僕はイレギュラー
ここに居てはいけない存在のようだった。

つまり、僕はずっと一人だった。
産まれた時からずっと…

大人の浅はかな考えにも、
子供の純粋な残酷さにも
僕は距離を取って生きてきた。

僕はまるで骸だ。
生きている筈なのに、死んでいる。

僕が可笑しいのは理解している。
普通ではないのだ。

だけど、普通に見せるすべは理解していた。



「養子…ですか?」

「えぇ…
貴方は大人しくてとてもいい子だから
きっと、新しい家族とも上手くやって行けるわ」

「そうですね、
僕はいい子ですから。」


僕には普通の子供と違うところが3つあった。

1つ目は、僕に前世の記憶があること。
2つ目は、幻覚が使えること。
3つ目は、いい子の振りするのが上手いことだ。


有能な子供を演じていれば、大人は騙される。

何度かの人生を経験した僕は、人間観察に長けていた。

相手が何を望んでいるなんて、聞かなくても分かる。


「今度の人は、きっと貰ってくれるわよ
私はそう信じているわ」


厄介払い…その言葉がぴったり似合う。

扉が閉まると、部屋に静寂が戻ってきた。
だが、孤独に僕は慣れていた。

騒ぎ出したり、
怖くて泣き出したりなんて、
実に馬鹿らしい。

そんなことをしたところで、現実は変わらないのだ。


「静かだ…」


僕の呼吸音しか聞こえない。
そんな静かな部屋で、僕は眠りについた。





タイトルはイタリア語で血のような赤らしいです
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