男夢主SS

□嫌われ審神者は夢を見る
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とある本丸の審神者をしろ。
そう命令を受けたのは数日前の話。

“必要最低限の仕事をこなせ、余計な事はするな
一門の名を汚す様な事をしたらどうなるか分かってるな?”

そう口煩く言われた挙句脅し文句まで言われりゃやる気も失せる。
まぁ、元々やる気なんてもんは無いんだがな。

本丸の門をくぐれば早速刀剣らしき男が居た。
まずは挨拶だな。


「…誰?」

『…ここに配属された審神者の』

「帰って
頼むからさ、お願い」


逃げる刀剣を追い掛ければ手入れ部屋らしき場所に逃げ込む。
襖を開ければ何人かの刀剣が俺を見た。

資源が無いんだろう、手入れが出来ない状態の刀剣男士と足元には折れた刀。

…地獄か、ここは。

政府は刀剣の知識も無い審神者とも言えないこの俺に本丸を任せてどうしようって言うんだろうか。
本家の連中に言われて…だろうな。
この本丸を次の家督に引き継ぐ事が出来るまで復興させろって言うのが“必要最低限”の仕事みたいだな。

まぁ、でも審神者が居れば資源は自動で支給される筈だから
後は刀剣自身にやらせれば問題無い。



『今日からこの本丸の審神者になりますが、形式上です
貴方達に一切干渉する気はありませんが、職務は果たしますのでご心配なく
以上です、何か質問は?』

「あのさ、話聞いてた?」


刀を首元に突き付けられた。
刀剣男士に刀を向けられる主が俺以外に居るのだろうか。
居るとしたら御愁傷様。


『政府からの指令です』


俺はそれだけ言うと資料に載っていた離れに向かう。
後ろからまた文句を言われたけど無視。
慣れてるもんでね、そんくらいじゃ怯まないよ。


『…ここか』


離れも見事に廃れていて人が住める様な状態じゃ無い。
来て早々掃除する羽目になるとは思ってなかったが、まぁいい。


『始めるか』








『…もう今日はこれでいい』


ある程度妥協出来る範囲まで綺麗になった。
まぁ、まだまだ汚いけど仕方ない。

風呂に入りたい。
…いや、でも入りに行きたく無い。


『…はぁ』


重い足を引きずって何とか井戸まで行く。
…まだ冬だ、水が冷たい。
軽くタオルで体を拭いた、寒い。


「うっわ、何してんの
信じられないんだけど…」


そんな声が聞こえた気がするが無視だ、無視。

部屋に戻って服を着替えて、横になった。
濡れた自分の体と埃が舞う部屋。


『初日早々散々だな』





本丸1日目
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